「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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まちだではたらく

家族との時間も充実させる
農業のあり方が
あってもいいんじゃないかな

更新日:2023.07.14

田中渓さん 農業

祖父の手伝いをするなかで、
将来農業を継ぐ気持ちはありました

―町田市内で農業をしている方の中でも若手の田中さん。現在、祖父の持っていた畑に加えて、借りている農地でのにんじん栽培、大きなビニールハウスでは育苗や農法の研究など、家族の助けや援農ボランティア(*1)さんの力も借りながら、日々畑に出ています。20代で職業として農業を選ぶまでにはどのような経緯があったのでしょうか。田中さんに聞いてみました。

「小さいときから、祖父の畑仕事はずっと手伝ってたんです。両親はサラリーマンでしたし、祖父は常々、畑はおまえの好きにやっていいぞって言ってくれていたので、継ごうという気はありました。ただ、農業をやろうって具体的になっていったのは、高校卒業後の進路を考えたときからです。東京農業大学の農林業経営者を目指す人むけに、研修制度があるのを知って、それを受けたのが大きなきっかけですね。すごく狭き門なのですが、1年間、農大の農地で働きながら農業を学んで、研修を終えたら大学にも推薦してもらえるという制度なんです。地方の農家のご子息が同級生にいるという感じですよ。運よく研修生になれて、大学に進んでからも、経営学から品種改良まで技術をたくさん学ばせてもらいましたね」

―研修をいろいろ受けながら、実際に農家としてスタートしたのはいつになったのでしょうか。おじいさまとは一緒に働けましたか?

「残念ながら大学在学中に祖父は亡くなってしまって、一緒に働くことは叶いませんでした。大学院を卒業してすぐ、2019年に独立しました。でも、在学しているときから、南多摩農業改良普及センターの勧めで、市内のいちご農家さんと、露地野菜農家さんで技術指導を受けていたんです。地元の生産者さんたちと交流ができたのは勉強になりました。こうして、みなさんのアドバイスを受けながら準備を進めることができて、祖父の畑からスタートして、他にも畑を借りて広げて今では2ヘクタールの畑を手掛けています」


中学校の給食への野菜の提供を見越して
もっとたくさんにんじんを収穫したい

―どのような野菜を作ってるのでしょう?

「最初は、いろんな種類の野菜を作ったこともあったんですが、今の主力はにんじんですね。これは市内の学校給食用に卸すためで、この先、町田市では中学校給食も始まるということを見越して、今から大量生産ができるようにと準備を進めています。にんじんを洗いながら大きさを選別できる機械も入れましたし、2022年には、補助金も活用してトラクターも導入しました。実は市内では僕しか持ってない最新のもの(笑)。後ろにパーツのようなものがあって、付け替えることで何通りも作業ができるというトラクターなんです。ガジェット好きなのがバレちゃいますね」

田中さんが育てたにんじん。みずみずしくてきれい!
導入したばかりのトラクター。作業別の機械を付け替えれば何通りもの農作業ができる。

―納屋にあったかっこいいトラクターですよね。いろんなタイプの農家さんがいると思いますが、田中さんの目指す農家とはどういうものでしょう。

「僕が目指しているのは、効率よく生産できる農業です。農作業は人手が必要なところも多いのですが、そういうときは援農ボランティアさんにお願いしています。今日のにんじん収穫もおふたり来ていただきましたが、おひとりは初めての参加だったりするんですよね。そういう方達も動機はさまざまで、農作業をやってみたいという方から、自然に触れ合いたい、体動かしたいっていう方まで、幅広くて。たくさんの人にボランティアで参加していただきたいので、初めてでもお手伝いできる簡単な作業にしておきたいんです。機械化できるところは機械でやって、人手が必要なところは簡単な作業に、と効率を考えた農業をやっていけたらと思っています」

取材に訪れたときは援農ボランティアの方が2名。にんじんを抜いて、葉を落とすという作業を午前中に進めていた。
レトロな色合いがかわいかったにんじんの洗浄、選別マシン。「中古の機器のリサーチも楽しいですよ」
にんじんの洗浄時間は約6分。機械に入れたあとも、腕時計のアラームを起動させて、その間運搬をするなど空き時間を作らないよう動く田中さん。
回転する軸の間を抜けると、にんじんの太さによって、選別されてカゴへ。人手を使わずに洗浄から選別まで、ワンオペが可能。

―農業もやっぱり効率が大事ですし、売り上げがちゃんとあることはもっと大事。先を見据えて、右肩上がりの成長を目指すってことは、仕事をする人にとって、当たり前のことですよね?

「去年子どもも生まれて、やっぱり家族との時間も欲しいです。旅行も好きなので、子どもと一緒にいつか海外も行きたいなーとかいろいろ考えると楽しいです。きちんと売り上げが見込めて、効率のよい農業が目標ですね。あと、大きなビニールハウスもあるのですが、母校の農大の研修生も受け入れたりするくらい、育苗の方法や設備の研究も続けているんです。効率化にもつながるような研究もしながら、自分の農業をもっと発展させていきたいですね。実は学んできた知識で、家庭菜園でのお困りごとも、アドバイスできると思っていて。援農ボランティアに来ていただいたらお教えできますよ!」

自宅前の畑。ここではオクラが芽を出していた。「田んぼも先々やって、自宅分のお米はここで作りたいですね」
家の周りの改良なども、まだまだやりたいことだらけと話す田中さん。
PROFILE
町田市出身。千葉県で育つも母方の祖父が市内で農業をしていたのを継ぐ。「まち☆ベジ」(*2)を生産する農業者。結婚して子どもが生まれたばかり。
*1農業者には労働力が提供されて、ボランティアには農的体験が提供される制度。
*2「まち☆ベジ」とは町田市内在住の農業者、農業経営の拠点がある農業者が、きちんとした管理のもと生産した農産物のこと。J Aアグリハウスや、まち☆ベジ市などで購入可。
アグリハウス
https://www.ja-machidashi.or.jp/agri/farmstand/machida/

とうきょう援農ボランティア
https://www.agrivolunteer-tokyo.jp/

まちベジ
https://www.city.machida.tokyo.jp/kanko/sangyo/nougyo/chisanchishou/tyokubaimap.html

撮影/TAWARA 取材・文/田中希

記事の内容は、取材時点です。
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