「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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まちだではたらく

町田で農業の「仕組み」をつくる!
全国・世界にもつながるロールモデルへ

更新日:2025.4.23

ファームマチダ東京 松井優一さん

地域の資源を生かす畑づくりと
スマート農業の取り組み

町田駅前のにぎわいから少し離れると、里山の面影を感じる風景が広がっています。都市と自然が近くにあることは、町田ならではの魅力の一つ。そんな町田で農業に取り組みながら、作物を育てるだけでなく、次の世代につながる「仕組み」をつくろうとしているのが、町田新産業創造センターの入居企業「ファームマチダ東京」の松井優一さんです。

「もともとは農業分野の会社に長く勤めていて、その事業を通じて農業に貢献したいと思っていました。でも、最終的には『自分で農家にならなくては、本質的な貢献はできないな』と思うようになったんです」

そこに重なったのが、地元・町田への思いでした。

「農業に貢献したい気持ちと、地元を盛り上げたい気持ちが、ちょうど重なった感じでした」

松井さんが育てているのは、タマネギやイモ類、そしてブルーベリーです。案内していただいたブルーベリー畑は、約800平方メートルほど。この畑に植わっているブルーベリーは45本。まだ木が若く、収穫量は数十キロほどですが、これからもっと育っていくといいます。

「ブルーベリーの根元に敷いているのは、町田市剪定枝資源化センターでつくられたウッドチップです。もともとは街路樹だった枝をチップにしたもので、樹木の根元にまくことで、雑草を抑えることができ、土の乾燥を防ぐ役割もあります」

「地域の資源を地域の農に生かすという意味でも、できるだけ町田のものを使いたいと思っています」と松井さん

こうした現場での工夫とあわせて、松井さんが力を入れているのがスマート農業の取り組みです。ブルーベリー畑の相棒は、市の補助金を活用して導入したロボット草刈機です。

ソーラーパネルで充電し、スマートフォンのアプリで操作できるこの機械は、ラジコンのような感覚で操作でき、斜面でもしっかりと動きながら草を刈っていきます

「自動モードも備えており、バッテリーが減ると自分で戻って充電する。お掃除ロボットと同じ仕組みですね。全国では1000台以上導入されていますが、東京都ではここが2カ所目になります」

「夏場は、見える範囲の草を刈るだけでも2~3日くらいかかることがあります。でもこれを使うと、細かいところだけ手作業でやればよくなるので、半日もかからないで終わる。こういった作業はできるだけ機械にまかせ、時短によって生まれた余裕を、栽培の工夫やこれからにつながる取り組みに充てたいと思っています」

二毛作と工夫でつくる
持続可能な農業

多摩丘陵に広がる畑で、松井さんはブルーベリー畑のほかにも、タマネギとイモ類の二毛作に取り組んでいます。

「できるだけ手間がかからない品目や、連作障害が起きない組み合わせを選ぶことで、持続可能な農業経営を目指しています。農薬メーカーに勤めていたこともあって、農薬を使うこと自体に抵抗はないんです。ただ、まくのに手間がかかりますし、コストもかかる。できるだけ使わない方向で取り組んでいったところ、結果的にほぼ農薬を使わないようになりました」

こうした取り組みの背景にあるのが、仕組みをつくるという考え方です。

「私自身は、S級の野菜を作るより、A級の野菜を安定的かつ大量に作るほうに興味があるタイプなのでしょうね。一人の職人が、自分が生きている間だけ頑張るという形ではなく、仕組みとして続いていくものを残したいという思いが強い。ロボット草刈機をはじめ、栽培管理アプリやデジタルアメダスなども積極的に活用し、自分で使ってみて有効だと判断できたものは、周囲にも共有したいと思っています。実際に使って『これはよかった』と言えるものは、紹介しやすいですし、少しでもほかの人の役に立てたらうれしいですね」 

タマネギを育てている二毛作の畑。足元には竹チップが敷かれ、雑草の抑制にも役立っています

竹を資源に変える
メンマと竹炭の取り組み

「地域課題解決の取組みによる新たなビジネスの立ち上げ」をテーマとした、市主催の異業種・異分野交流会に参加したことをきっかけに、竹林の整備にも関わるようになった松井さん。現在は整備を進めながら、メンマづくりや竹炭づくりにも取り組み、放置竹林そのものに新しい価値を生み出そうとしています。

「竹林は、間引きながら整備していく必要があるのですが、その過程で出てくる竹をどう活用するかを考えて、メンマや竹炭の製品づくりに取り組んでいます。そこで得た収益を、また整備に回していく。そういうサイクルをつくりたいと思っています」

「実際に取り組んでみると、青竹を切る前に枯れた竹がたくさん残っている状態で、整備には手間がかかります。一方、若い竹はメンマとして活用できて、成長した竹は炭にできる。そうやって使い分けることで、無駄なく活用できる形にしていきたいと考えています」

メンマづくりには竹ならではの特徴もあります。

「タケノコだと食べられる部分は限られていますが、メンマにする場合は2メートルくらいまで使えるので、可食部が多いんです。しかも、幼竹の段階なら簡単に切ることができて、収穫もしやすい。そういう意味でも、扱いやすい資源だと思います」

メンマは、学校給食でも試みが始まっています。市立鶴川第三小学校では、子どもたちが大好きなラーメンの具材として提供され、「ポリポリでおいしい」と評判は上々。

「当日、学校で講話を行ったら、子どもたちがすごく反応してくれて。『メンマの人だ!』なんて言われたりするんですけど(笑)、『メンマって竹からできているんだよ』『2メートルくらいまで大きくなったものを使うんだよ』と話すと、『そんなに大きいの?』と驚いてくれるんですよね。教室の扉くらいだね、なんて話したりもしました」

給食で提供されたメンマ。町田の竹林から生まれたメンマを、まずは東京で広く知ってもらい、そこから町田へと関心が広がっていく流れを目指して、「東京謹製メンマ」と名付けました

こうした活動は、竹や里山への理解を深めるきっかけにもなっています。

「整備の中で出てくる竹は、チップにして二毛作の畑にまいています。敷くだけで防草材としての効果があり、作業の手間を減らすことにもつながっています。竹炭づくりについては、ハイテクな窯を選定して導入しました。一般的には土窯で2週間ほどかかるともいわれていますが、この窯では4時間ほどでつくることができます。これらの取り組みを通じて、放置竹林の解消と整備の循環につなげていきたいと考えています」

竹を粉砕してチップにする機械。畑にまく防草材として活用されています
竹炭をつくる専用の窯(左)と、出来上がった竹炭(右)。窯は特注品で、東京都内では初の導入です

町田で農業の未来を描く
その思いが、新しい可能性をひらいていく

松井さんの取り組みは、畑や竹林にとどまりません。その背景には、生まれ育った町田というまちへの強い思いがありました。松井さんは、町田を「都市と自然が近い、稀有な自治体」だと話します。

「東京都内でも人口が多い一方で、豊かな自然環境をあわせ持っている。そういう特徴を持つ自治体は珍しいと思っています。町田は東京都の中でも農地面積は2番目に大きく、農業のチャンスがある自治体です。その特性を生かして、全国、あるいは世界に向けて、都市農業のロールモデルを示していけるのではないかと感じています」

「ただ、その一方で、『町田といえば何か』と聞かれたときに、すぐに思い浮かぶものがまだ少ないという感覚も否めません。だからこそ、町田といえば農業、というイメージをつくっていきたい。町田って農業が盛んだよね、と自然に言われるようにしていきたいんです。農業や里山は、町田を牽引する存在になりうると考えています。町田に農業があるということを知ってもらって、少しでも誇りに思ってもらえたらうれしいですね」

子どものころ、町田中央公園や芹ヶ谷公園で遊び、境川サイクリングロードで走っていたという松井さん。地元の風景の中で育った人が、今、その土地の未来につながる仕組みを育てています。

そんな松井さんが、町田市のキャッチフレーズ「いいことふくらむまちだ」に添えたのは、「農業」という言葉でした。「農業で、いいことふくらむまちだ」です。

作物を育てることも、地域の資源を生かすことも、未来につながる仕組みをつくることも、その言葉が示す方向と重なっています。

「町田の農業と里山には、多くの可能性があると思っています。その可能性を、次の世代へつながるかたちで残していきたいですね」

リファームマチダ東京
@fmtokyo_co_jp
@fmtokyo_co_jp
HP https://fmtokyo.co.jp
撮影/上樂博之 取材・文/小山まゆみ
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