KEN THE 390 × 長谷川ミラ
スペシャル対談
更新日:2023.11.16
KEN THE 390さん ラッパー ✕ 長谷川ミラさん モデル・ラジオナビゲーター
町田市出身のラッパー・音楽プロデューサーでもあるKEN THE 390さんと、モデル・ラジオナビゲーターの長谷川ミラさんが対談しました。
同じく東京出身の長谷川ミラさんが、KEN THE 390さんに町田ってどんなまち? どんな魅力がある? と思い出やエピソードを聞きました!
KEN THE 390幼少期の
町田での思い出
長谷川ミラ(以下ミラ) ケンザさんは町田市出身とうかがっているのですが、町田で過ごされた時間や思い出の場所があったら教えてください。
KEN THE 390(以下KEN) 思い出の場所はいっぱいあるんですけど。かしの木山自然公園という、僕がちょうど小学校に通う途中にある公園があって、よくクワガタ採りに行っていました。公園という名前なんですけど、もう“山”なんですよ。
ミラ 山ですか?(笑)町田には、そういう広い公園が多いんですか?
KEN そうですね、広い公園が多いです。特にかしの木山自然公園は、“山”にちょっと歩きやすい道がついている、という感じの公園です。たまにちょっと木のテーブルと椅子があるけど、あとはすごく急な坂というか山道(笑)。僕が小学校のとき親や友達とよく遊びに行ってた公園ですが、自分が大人になってきて「ああ、なんかああいうのってないんだな」と思って。
ミラ 私も同じく東京出身なんですけど、山で遊んだ記憶はないかも(笑)!
KEN そうですよね。それが普通で育ったんですけど、今思えば「オレ山で遊んでたんだ」と。登下校の途中に大きな桑の木があって、必ず帰りみんな登って桑の実を食べて帰る。で、たまにビニールでいっぱい持って帰ってお母さんに桑の実でゼリー作ってもらうのが、超普通だったんですよ。でも大人になって「全然普通じゃないな」って。
ミラ それが東京でできたって、ある意味贅沢というか。
KEN そこにだんだん気づいてきました。
ミラ 今「大人になって」という話がありましたが、現在、どういう生活をしていて、そこから振り返ってみると「町田ってこうだな」ってことはどんなことがありますか?
KEN そうですね。今、23区に住んでいますが、やっぱり便利さはあるけど、さっき言ったみたいな自分が当たり前に触れ合ってた自然って、実は貴重だったんだなって。泥を使って遊ぶっていうこともそうだし、遊びながら自然に泥で汚れるってことだったりもするし、そういう感覚ですよね。これって、ちゃんと考えないと手に入らない環境なんだなって思って。特に自分が今住んでるエリアの周りだと。子どもが今3歳になって走り回るようになってきて、自分が経験してきたような当たり前にあったものが全然なかったりするから。それでいろいろ最近、考えました。自分がどういうところに住みたいとか、どういうところで子育てしたいのか、みたいなことをリアルにいろいろ考えちゃう年齢になりました。
ミラ お子様は泥だらけなんて、そうそうないですよね?
KEN 今は保育園なので、園庭はあるけど小さいし…。やっぱり、僕の時代とも違うし、当時の町田の環境とも、もう全く違いますね。
ミラ 保育園ひとつとっても、町田の保育園は大きいのかな?
KEN そうですね。僕が行ってたところは園庭が広くて、よく遊んでましたね。
ミラ 私は23区内の方にいたので、そんなに幼稚園の校庭が大きかった記憶は全くなくて。
KEN 僕もはっきりは覚えてないけど、4時ぐらいにお迎えの時間になったらみんな外で勝手に遊んでて、親が来たら先生に連れて来られて、帰っていくみたいな。
ミラ ドラマでよく見るようなシーンですよね。
KEN そう、でもその感じって今の都心部の保育園って、ないと思うんですよね。僕も保育園のお迎えに行くと、教室の中でみんな遊んでいて、そこで引き取るっていう。
ミラ 私、折り紙して待ってました、手裏剣作ったりとか(笑)。
KEN そうですよね。全然外遊びしてて…ってそういう感じじゃないんだなっていうのを1コ1コ実感していってます。
ミラ クワガタを採ったり、山に登ったりとか、泥だらけになった経験を今になって思い出す瞬間や、そういう子ども時代があったからこその今のケンザさんだなって思われる瞬間はありますか?
KEN その経験が今にどう反映されてるかは、分からないですけど。そういう自然のふれあいがなくても、もしかしたら育っていくのかもしれないですよね。だけど、もっとフィーリング的なところで、自然がいっぱいの環境っていいのかな、みたいな感じ。
ミラ 奥様とかともそういうお話はしますか? 移住とか。
KEN やっぱ色々考えますね、僕は実家も町田にあるんで。子育てってやっぱり、めちゃくちゃ大変じゃないですか?(笑) だからリアルな話、親元も含めて、もうちょっと家族という集合体で近くに住める場所とか、そういうことまで考えたりすると、やっぱり限られてくるなって思ったりします。
ミラ 今もご両親は町田に?
KEN うちの両親は町田にいるので。だからしょっちゅう子ども連れて帰って来てるんですよ。電車でも車でもかなり便利です。
ミラ ご両親は町田について今どういう風にお考えか、とかそういう話はされますか?
KEN そうですね。町田から動く気ないみたいですよ。住み良いんじゃないですかね。
ミラ ずっとご家族は町田にお住まいなんですか?
KEN ずっと町田です。バスに乗らなくてもすべてが完結してる。スーパーがあって、病院があって、コンビニがあって。なにも問題ない。で、ちょっと車乗ったらフィットネスクラブもあるし、みたいな。生活ができ上がってるんですよ。だから動く理由もないし、満足してるようです。
ミラ ご両親世代、高齢の方々にとっても長く住み続けられる街ってことなんですかね。
KEN そうだと思います。町田って、町田の中心部は都会な感じがすごいあるし、あそこはもう完全シティなんですけど。でも、バスでちょっと離れただけで、それぞれに街が成立してる。小さいコミュニティみたいなものが無数に点在しているから、そういうところに一回落ち着くと気持ちがいいんじゃないですか。あと、坂が多いから足腰が鍛えらえる(笑)。
ミラ めちゃくちゃ大事です(笑) 町田市民の健康測定レベルってもしかすると高いかも(笑)。子育てもできるし、そしてさらには、ケンザさんご自身が年を重ねていった老後まで見据えられる町っていうことですよね?
KEN そうですね。やっぱ考えちゃうんですよ。自分の実家の近くも良いし、南町田も東名高速が超近いから。僕は車移動なので、そこもリアルに考えちゃう(笑)
「町田にはカルチャーまでなんでもある」の
その一言では語れない懐の深さ
ミラ 町田という都市に何か期待することや、もっとこうなったらいいなとか、ここがいいから伸ばしたらいいなとか、リクエストをあげるとしたらなにかありますか?今のところ車や電車のアクセスも良いし、子育てもしやすい。
KEN そうですね。別に今は映画館が欲しいぐらいですかね(笑) 町田駅周辺にあったらいいかな(笑) でも、究極それぐらいで。
ミラ え! 映画館ないんですね。
KEN 昔はあったんですよ。今は南町田のグランベリーパークに行くと、IMAXや4DXが見られるからいいんですけど。でもそのぐらいもう、町田駅周りって本当にちゃんとシティじゃないですか。
ミラ そう思います。
KEN 自分はヒップホップとか、サブカルチャー的な音楽が好きだったんですけど、そういう学生として育ってきても、町田で全く過不足なく過ごせた。「何でもあるよ」って言うけど、何でもあるって別にイオンに行けば何でもあるじゃないですか。でも町田は、何でもあるプラス自分が好きなものが、カルチャーとかエッジが立っているちょっとニッチなものが、満足できる規模であるんですよ。そこからちょっと離れたら自然にあふれてたり、住みやすい、みたいな。僕の視点で言ったら、町田はレコード屋さんもいっぱいあったし、ライブハウスもあるし、クラブもあるし。
ミラ でも音楽のカルチャーは、はナイトシーンからハマるっていうのもひとつあるので。
KEN そうですね。洋服も大きい量販店もいっぱいあるし、とがった個人店もいっぱいあるし、古着もすごく有名な街なので。懐が広いと思うんですよね、「何でもある」で片付けられないというか。だから僕は、ここからさらに何かが欲しいと思わなくて。逆に本当に懐の広い街の中心部がありながら、そこから少し離れたり、10分歩けばめっちゃ緑が広がってるんで。
ミラ 今日もね、背景ものすごい緑!
KEN これとか(窓の外見て)そうですよね。(対談場所が薬師池公園西園)
ミラ これは贅沢。東京にいるってちょっと信じられない。
KEN それに、おしゃれ度まで足された施設が2020年にできて。この感じは今までの町田にはなかった(笑) ちょっとした軽井沢感がありますよね(笑)
ミラ たしかに!今日の場所みたいな、アップデートされている町田のエリアもありつつ、レコード屋さんとか古着の文化とか、残されていく文化が混合している、そんなような感じなんですかね。
KEN そうですね、だから本当にいいところだと思います。別に自分が育ったからとか思わず。その魅力が、自分に子どもが生まれたり、年を取っていくごとに、色々再発見されてく。若い頃はこの感覚、わかんなかったですもん(笑)
ミラ やっぱり子どもの時から育った場所だと、その土地のありがたさとか、もっと大きい規模で言うと「日本で生まれてよかった」なみたいな感覚も、子どもの時はあんまり思わないですけど、大人になっていろいろ振り返ってみたり、いろんな国見てみるたりすると、改めて感じますよね。
KEN そういう感じだと思います。芹ヶ谷公園も僕よく行ったんですけど、すごく大きな公園なんですよ。噴水があって水で遊べて広場もあって。でも、あれが観光地としてじゃなく普通に街の一部としてあるというか。みんなが普通に遊びに行ってて。芹ヶ谷公園は、実際行くと、地元の人しかほぼいないんですね。都心でも大きい公園があるんだけど、やっぱり観光地として大きい公園になってる。自分の子どもを連れて、そこへ無邪気に遊びに行けるかって言われると…。自分たちと同じように遊びに来ている人だけど、実は同じじゃない、みたいにも感じるんです。
ミラ ご自身はラッパーとして活動されてきて、そういうホームだったり、地元だったり、そこの温かみも活動に影響はありますか? レペゼンじゃないですけど、そういったマインドも町田から来てたりしますか?
KEN そうですね、ヒップホップは基本的に自分がどこから来て、どういう人間なのかみたいなのがすごく大事なカルチャーなので。だから生まれた町とか育った町と切り離せないと思う。その分だけ自分がどういうところで育ったのかを、見つめ直す機会は多いカルチャーかもしれないですね。
ミラ 実際に、歌詞や活動の中で町田に影響されたことは?
KEN 固有名詞で町田が出てくる曲はあります。
ミラ よくラッパーの方の歌詞を見てると「ここで育ったけども、今こういう思いでやっている」とか。コンプレックスがありつつも、一歩外に出たら感謝しかない、みたいな。そういった背景を知っていると、またケンザさんの曲の聴き方も変わってくるかもしれない。
KEN 確かに街の影響は絶対あるので、自然とあるかもしれないですよね。
ミラ 例えば歌詞の中で、どういった文脈で町田は出てくるんですか?
KEN 僕は自分の地元について歌う曲とかがあったりします。町田周りが出てきたり。あと若干隣町なんですけど「こどもの国」とか。でも「こどもの国」は、厳密には町田市じゃない(笑)
ミラ 違うんだ!
KEN そうそう(笑)だから自分としては町田市だけど、自分の生活エリアのなかに完全に入っているから。その辺の言葉が出てきたりとか。
ミラ 街がいろんなエンターテイメントにもつながったり、いろんな面で知らないところで私たちにこんなに大きく影響を与えているんだな、って、ケンザさんは特にそういうふうに思いました。
J1に昇格したFC町田ゼルビアの活躍が
町田の魅力をもっと引き上げる
KEN 僕は町田の魅力はバランスの良さだと思っていて。都心からの距離に対して町田駅周りの若い人にとってはあそこの活気とか、さっきも言ったみたいに何でもある。マジで渋谷、新宿にあるものほぼあるから。
ミラ 意外とわかってないですよね。渋谷、新宿にあるものって、意外と10キロ離れたところでも全然ありますよ。そこはひとつ魅力かもしれないし。
KEN そうだと思います。生活するためだけの何でもあるより、さっきの自分の趣味とか嗜好に合わせたもののレベルで言っても、町田はわりと何でもある。その規模の“街”を有しているんだけど、緑と、アクセスと、家賃も全部バランス取れていると思っていて。
ミラ どれだけ緑が我々の情報社会の中で、ストレスをリリースできるのかっていうのは侮れないですよね。それで町田駅の近くに行けば、ほぼ渋谷と同じ状況があるわけですから。
KEN 沿線で真ん中の駅とくらべても、急行なら10分しか変わらないから。だったらあと10分先の街でバランスがもっと取れて、町田市や町田駅周りの街中を充分に活かしながら生活できることを考えると、やっぱりすごくいいと思います。それで、最近はリモートとかいろいろな働き方もあるから、よりそういうところに住んだ方がいろんなモノが満たされて、お金と生活のクオリティのバランスがすごく取りやすいかなって。
ミラ 間違いない。QOLがすごく上がりそうなイメージがつきましたね。
KEN あと、サッカーが強いんですよ。もうすぐこれは行くんじゃないかなって感じなんですけど。すごいことになりますよ。(※取材時はF C町田ゼルビアが、まだJ1昇格を決める前)
ミラ それは楽しみ! スポーツも町おこしの重要な部分ですよ。
KEN 全国に!チーム名に“町田”が入ってるので。
ミラ スポーツから、さらに日本全国に(町田の)名前を知らしめる可能性も。
KEN そうですね。FC町田ゼルビアってチームは、少年サッカーから始まっているチームなんですよ。この地域は、教育と街のスポーツ感がちゃんとリンクしてる。そのチームがJ1に行くって、ほんとすごいことなんですよ。
ミラ 本当にそうだと思います。スポーツチームの名前がどれだけ知名度に繋がっているかっていうのは、意外と忘れがちなところだったりしますよね。それを実際に市民の方々たちが利用できる場や、アクセスがないとなかなか繋がりがなかったりするので。コミュニティの強さもあると思いますし。いろんなチャンスが多い地域なのかもしれないですね
KEN そう思います。あと、シンプルにJ1チームを輩出できる規模の街だと思われることがすごくいいことだと思うので。
ミラ 強さですね、町田の。世界へ!町田!
KEN アジアのチャンピオンズリーグ行くかもしれない!全然ありえますから。
ミラ 今日は町田の魅力をたくさん教えていただきましてありがとうございました。住みたくなりました。
KEN こうしてしゃべってみると、自分で町田の魅力を再確認したりしますよね。やっぱり町田に住もうかなとか、より気持ちがちょっとどうしていいかわからない(笑)
ミラ これからが楽しみですね、ケンザさんが町田に戻ってくる可能性もある(笑)。 本日はありがとうございました。
KEN ありがとうございました!
KEN THE 390
ラッパー、音楽レーベル”DREAM BOY”主宰。フリースタイルバトルで実績を重ねた後、2006年アルバム「プロローグ」にてデビュー。 これまでに11枚のオリジナルアルバムを発表。全国でのライブツアーから、タイ、ベトナム、ペルーなど、海外でのライブも行う。
またテレビ朝日のMCバトル番組「フリースタイルダンジョン」へ審査員として出演。その的確なコメントが話題を呼ぶ。近年は、テレビ番組や各種CMなどの出演をはじめ、さまざまなアーティストへの楽曲提供、舞台の音楽監督、映像作品でのラップ監修、ボーイズグループのプロデュースなど、ラップ/HIP HOPを軸にその活動の幅を広げている。
KEN THE 390 NEW EP「Unfiltered Red」Digital Release
配信リンク:https://linkco.re/3FcgEcY9
Official HP
@kenthe390
@KENTHE390
長谷川ミラ
モデル、ラジオナビゲーター。1997年7月7日生まれ。南アフリカと日本のミックスTVや雑誌での活動をはじめ、J-WAVE「START LINE」ではナビゲーターを務めている。イギリスの名門美大への留学経験があり、社会問題などをSNSで発信する、新世代を担うオピニオンリーダー。ビジネス誌「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」受賞。@jenmilaa6326
@jenmilaa @jamtokyo @jamappareltokyo
取材協力/薬師池公園四季彩の杜西園、加藤有紀子
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