才能あふれる12歳のジャズピアニストは、
町田育ちの町田っ子。
目標は二十歳までにグラミー賞をとること!
更新日:2024.08.14
Ai Furusato(古里 愛)さん
ジャズの名門、米国バークリー音楽大学に世界最年少の12歳で合格した、町田育ちの若き才能あふれるジャズピアニスト、Ai Furusatoさん。2022年7月、著名なジャズミュージシャンたちが演奏してきたことで知られるニューヨークの老舗ジャズクラブ、『Smalls』に10歳でセッションに参加。そこで繰り広げられたジャズメン(ジャズ専門の演奏家)たちとのセッション動画は、YouTubeで200万回再生を超える大反響を巻き起こしました。バークリー音楽大学に進学するため渡米を間近に控えたAiさんにお話を伺います。
ピアノを始めてまもなく、
卓越した才能の片鱗を見せる
「ピアノを始めたのは、3歳の頃です。両親が町田でピアノのある『Coffee & Bar Ivy』を経営しているので、音楽はとっても身近な存在でした。ピアノの生演奏やセッションに触れる機会も多かったため、小さい頃の私は、誰もがみんな、ピアノを弾けるものだと思っていたんです。小学校のとき、友だちに『ピアノが弾けるなんてすごい!』と言われて、『え?ふつうじゃないの?』とびっくりしたくらいで(笑)」
3歳でごくごく自然にピアノを始めたAiさんは、プロのピアニストでジャズのボーカリストでもある母の智子さんに付き添われ、柿生にあるNopia Raguit音楽教室へ通うようになりました。教室では蜷川和哉氏に師事しています。
「蜷川先生には1からクラシックを習いました。小さい頃のことなのであやふやなところがあるかもしれませんが、記憶の中でやめたいと思ったことは一度もありません。やっぱり、ピアノを習うことが楽しかったから、ずっと続けられたのかな。自分が成長するのも楽しいし、音楽を演奏すること自体もすごく楽しいんです」
ピアノを習い始めて、わずか1~2年後。Aiさんは教本のソナチネアルバム(中級学習に必須のソナタを弾くための曲集)を5歳で終えるという、非凡な才能を発揮。母の智子さんは、「私もピアノを習っていましたが、ソナチネが終わったのは中学校1、2年の頃。私が中学生まで一生懸命やってきたことを、彼女は4、5歳で終えているので、それ以降は教えることがなくなりました」と笑います。
そして、第33回全日本ジュニアクラシック音楽コンクールのキッズ部門で審査委員賞を受賞。この回は最優秀賞に該当者がいなかったため、Aiさんが受賞した賞は、実質、いちばんいい賞でした。さらに2020年に、ローランド・ピアノ・ミュージックフェスティバルの小学生部門で優秀賞を、2022年には最優秀賞を受賞します。
国立音楽院初等部でジャズピアノを専攻。
クラシックからジャズへ
小学校に入ってしばらくは、学校から帰ってきて、少しだけ練習する程度だったというAiさんですが、コロナ禍で家にいることが増えたため、練習量が格段にアップ。『学校が再開してからも、今と同じくらいピアノを練習したい』と熱望するようになったAiさんのために、古里家では音楽を専門的に学べる学校探しを始めました。そこで出会ったのが、国立音楽院初等部です。音楽を専門的に学ぶことができる国立音楽院に入学すれば、好きなピアノを好きなだけ学びたいというAiさんの願いを叶えることができます。そして、クラシックピアノを学んでいたAiさんにとっては未知の世界でしたが、Aiさんは母の智子さんが師事したジャズピアノの池田公生氏に師事することになりました。
「どうなるかはわからないけど、やってみよう!と思いました。ジャズは即興演奏が重要で、楽譜に書かれていない部分をその場のインスピレーションや、他の演奏者の反応に応じて演奏します。クラシックでは楽譜どおりに演奏していたのに、それがまったくなくなり、『とりあえず弾いてみて』と言われても、どうすればいいんだろう?というところから始まりました。最初は何もわからない状態からのスタートでしたが、演奏すると楽しいことはわかって、理論を学んでいくうちにどんどん楽しくなっていったんです」
世界最年少の12歳で
名門バークリー音楽大学に合格
月日がたつとともに、自分の可能性をもっと広げたいと考えるようになったAiさんは、アメリカの音楽大学に進路を求めるようになりました。そして、米国マサチューセッツ州のボストンにキャンパスを置く、バークリー音楽大学に辿り着きます。音楽教育を追求する才能豊かな若者が集まるバークリー音楽大学は、クインシー・ジョーンズ、ブルース・ホーンズビー、渡辺貞夫をはじめ、Aiさんが尊敬するジャズピアニストの上原ひろみなど、世界的なアーティストを輩出している名門中の名門です。
「音楽を通じて、いいな!と思った人に話を聞くと、どの人からもバークリー音楽大学の名前が出てきました。誰に聞いてもバークリーの名前が出てくるので、バークリーに行くように仕向けられているのかな?と思ったくらいです(笑)。米国の高校卒業資格に必要な単位を取得できる東京インターハイスクールのジュニアコースで学んでいたため、英語は割と得意です。でも、専門用語や文法になると混乱しちゃう。大学に入るために受けるTOEFLは、学校で習う英語とは学ぶ分野が違うので、勉強は本当に大変でした」
口に出した目標は
すべて叶えてきました!
努力が実り、世界最年少の12歳で、見事に合格を勝ち取ったAiさん。この先、どんな目標を持っているのでしょうか。
「一番の目標は、二十歳になる前にグラミー賞をとることです。今も目標を紙に書いて、目で見えるようにしています。そして、その目標が叶っていることをイメージしながら、毎日それを口に出して読んでいます。そうやって紙に書いてきたことは、多少、日にちがずれても、全部そのとおりになってきました。叶えたい目標があることは、私にとって一番のモチベーションになっています。グラミー賞以外にもいろいろな目標を設定しているのですが、毎日それをイメージしながら口に出すのは、自信をもつことにもつながっています」
まもなく米国の大学生になるAiさんは、高校卒業資格のカリキュラムをコンプリートするまでは、ご飯とお風呂、睡眠以外の時間を勉強に費やし、単位を取得した今は、寝食以外の時間をピアノの練習に費やしています。1日のスケジュールは自分で決め、練習時間が1日12時間におよぶこともザラですが、それについてはまったく苦にならないそう。学びが楽しくてしかたない様子のAiさんですが、音楽以外で興味のあること、好きなことはどんなことでしょう?
「ファッションやメイクに興味があります。メイクはライブ演奏のときにしかしませんが、たまにやるからこそ楽しいのかもしれないですね。服はインターネットのサイトや、町田のジョルナで買ってます! 町田は、ジョルナみたいに買い物が便利なにぎやかなエリアもあれば、ちょっと行けば芹ヶ谷公園のように自然を楽しめるところもあって、いろいろな要素が詰まっているところが大好きです。家族で温泉に行くのも好きで、食べることも大好き。1日3回の食事タイムがリラックスできる時間になっています」
さまざまなジャンルのよさを取り入れ、
心を込めて演奏するスタイルが持ち味
素顔のAiさんは、12歳らしい一面もたっぷりありますが、アドリブが肝となるジャズの世界で見せるメンタルの強さは、とても12歳とは思えません。
「心の持ち方としては、たとえば、この人だったらこうやるかな?みたいなことを想像して、それに合う伴奏を練習します。とはいえ、やっぱり限界はあって、本番で全然違う展開になることもあります。そうなったときは、『ヤバい、どうしよう』ではなくて、『じゃあここはこうしよう』みたいなことを考えるようにしています」
ジャズピアノのアドリブには、淡々と弾く人と感情を爆発させて弾く人がいて、Aiさんはその両方をもっているタイプです。
「情熱的なタイプと、淡々としながらも素晴らしい演奏をするタイプ、それぞれいいところがあります。淡々と弾いているからといって、心を込めていないわけではありません。私もすべてにおいて心を込めて演奏するよう心がけています。私はロック好きの父やジャズ好きの祖父母と母、そして蜷川先生など、多くの人からさまざまな影響を受けてきました。それぞれのジャンルのいいところを集めた音楽を演奏したいと思っていて、それが私の持ち味のひとつかなと思っています。アメリカでは、毎日のようにセッションライブがあると思います。そこでの出会いや演奏、すべてがとても楽しみです!」
『Coffee & Bar Ivy』はAiさん親子が渡米している間、
おばあさまが切り盛りします
PROFILE
埼玉県狭山市生まれ。生後1カ月のとき町田へ。以来、町田市在住の町田っ子。3歳から現在までNopia Raguit音楽教室で蜷川和哉氏に師事。小学校4年生(9歳)から国立音楽院初等部にてジャズピアノを専攻。ジャズ理論、実技を池田公生氏、コード進行やセッションについて岩谷耕資郞氏に師事。2022年2月よりオンラインでStefan Karlsson氏に師事。2024年2月、世界最年少となる12歳で米国バークリー音楽大学に合格。2024年秋より渡米予定。2022年7月、ニューヨークでのセッション動画は200万回再生を超えている。Coffee & Bar Ivy
TEL 042-785-5847住所 : 町田市原町田3−4−4
HP : https://coffeeandbar-ivy.shopinfo.jp/
@CoffeeandBarIvy
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