今シーズン限りでの現役引退を発表
フットサル界のキングでありレジェンド
森岡選手のラストシーズンを応援しに行こう!
更新日:2025.05.23

森岡薫選手
フットサル界のレジェンド・森岡薫選手、46歳。今シーズン限りでの引退を発表しました。発表するまでにはどのような思いがあったのか、今シーズンの意気込みや、これまでの選手生活で大切にしていたこと、パパとしての素顔など、ロングインタビューさせていただきました。
引退を決意するまでと、
決意した後の周囲の反応。
46歳まで現役を続けられた原動力とは

――今シーズンで引退を発表されたわけですが、チームメイトやご家族、周囲の皆様からはどんなお声がけがありましたか?
チームメイトからは“まだやれますよ!”とは言っていただいたんですけどね。まだ周りの人たちにはそんなに話をしていなかったので、発表した後は“試合見に行かなきゃね!”という声が多かったですね。
――最後の森岡選手を見なきゃ!というお客さまが増えるきっかけになりそうですね。
増えてくれればいいですよね。来て欲しいですね。
――ここまで長く選手生活を続けられた、モチベーションは何だったのでしょうか?
やっぱり家族、子どもかな。2、3年前から家族の中では引退をいつするか、と言う話はしていたんですが、子どもたちは“まだやってほしい”“まだやれるよ”って言ってくれたんですよ。男の子2人はJリーグの下部組織、地元のクラブチームで真剣にサッカーをやっているので、 “パパもまだ頑張るから、おまえたちももっともっと頑張らなきゃだぞ”と、示すために続けてきたのが大きいかな。これが原動力になっていますね。言葉でああしなさい、こうしなさいとはあまり言いたくないので、僕が頑張る姿を見せるというか。
――もう、お子さんたちはパパを追い抜く部分も?
子どもたちは体もどんどん大きくなって、中学2年生の長男は身長こそまだ抜かれてはいないんですが、最近言われるのは“今、パパと一対一だったら勝てるな”なんて言うんですよ。でも、僕の性格上、大人気ないほうなので、まだまだ子どもに負けたくないって思っちゃいますね(笑)
よく休みの日は、子どもとボール蹴ったりするんですけれど、特に長男はスピードがだんだん僕に追いついてくる感じがするんですよ。本来は親って子どもに越されることは喜ばしいことなので、全然いいんですけど、僕はなんか悔しい(笑)って思っちゃう。なので、パパも頑張らなきゃなって感じです。
――子どもたちへのエールも込めた、現役生活だったんですね。
子どもたちが結構大きなモチベーションではありましたけど、あと、自分の中でも、現役生活で色々なチャレンジをさせてもらった中で、やっぱり悔いのない選手生活をしたい気持ちが強いんですよね。今までは引退がよぎる度にやめたら後悔しそうだなってどこか思っていたので…。
昨シーズン町田でプレーした時に当分優勝は無理だな、なんて感じていれば、僕もそこで燃え尽きてたかもしれない。けれど、一昨年のシーズンはあと一つのところで優勝を逃して、その次のシーズンで僕が加入して、優勝は手が届かなかったけど手応えは十分感じたんですよ。所属する選手たちも、スタッフも含めて優勝を狙えるチームだと思えたから、このままじゃ辞めたくないなと。ですから、今年に賭けている思いは強いです。Fリーグができた時からずっとやってきている歴史あるクラブでもあるし、僕もそれを見てきてますから。より選手たちがいい環境でやれるようになっていますし、優勝を狙うチームであって当然だなって感じているので、僕も最後、優勝して終えられたらいいなという強い気持ちでいます。
現役を続ける“イケオジ”森岡選手の
体づくりの秘訣も聞いてみました

――また長いシーズンが始まりますが、身体のコンディションを整えるために取り組んでいることを教えてください。
いっぱいありますよ(笑)!46歳で何もしてなかったらウソですからね。一番は食事、あとは睡眠。年齢的に体重も増えやすいですしね。何かに偏った食事ではなくて、バランスよく、時間を決めて食べることですね。練習が朝にあるので、練習前は食べずに、練習が終わってから朝食をとっています。寝る前は3時間空けて、7時には夕食を終えてますよ。それと腸活も意識していて、元々自分の中にある腸内細菌を活性化させるというサプリを取り入れたり、そのおかげで水をよく飲むようになったりといろんな効果がありますね。便通も良くなった気がします。
――良い睡眠のためには何をしてらっしゃいますか?
これも夜寝る前に、睡眠のサプリを飲んで10時には寝るようにしています。お腹いっぱいで寝ると、目覚めが悪かったりするので、夕飯から時間を空けるのは大事かなと。あとお酒は飲まなくなりましたね。
――気をつけるようになったのは、いくつから?
40歳で町田に戻ってきてからですよ。トップリーグでプレーするというのは、そんなに甘いものではない。2部にいたこともあるんですが、やっぱり1部で、しかも優勝を狙うようなチームで試合に出るならば、それくらいしないと厳しいです。シーズン始めはきつい練習なんですが、規則正しい生活をしていると身体の調子もいいですし、去年に比べて動けてますし、疲労も取れてますね。年齢によって他の選手たちと別メニューをするわけでもないですし(笑)。40歳超えたらね、何かしら健康に気を遣ったほうがいいですよ、皆さん(笑)。
フットサルを始めた21歳の頃の自分へのメッセージ。
現役生活を続けるために心がけてきたこと

――実はフットサルを始めたのは、大人になってからと。
僕は21歳から始めました。身体能力もあったとは思いますけれど、やっぱり一番は自分の生活を変えたい覚悟というか。勉強ができるわけでもない、仕事をしたとしても何かを成功できるわけでもない、フットサルしかない、という環境を自分で考えて始めたので、フットサルで生活をしたいって思った瞬間、全てを賭けました。その思いだけは強かったからこそ、人との出会いもあって、それが運命になったというか。僕がよく言うことなんですが、何かをやり始めたら悔いなくやりたいんですよね。あとからもう少しやっておけば…とか、もっと上手くいったのに、というのは避けたいんですよね。
振り返れば、21歳で始めて26歳でプロになって、日本代表にもなってワールドカップにも出て、ってよくここまでいけたなって思うんですよね。
――21歳の自分に声をかけるとしたら?
“大丈夫だから”って。うん、言いたいですね。
――遅咲きの森岡選手でしたが、ここまで素晴らしいキャリアを積み上げることができたのはどうしてだと思いますか?
21歳で、最初は個サル(個人参加型フットサルの略。チームに属さなくても一人で参加、試合形式でプレーできるイベント)を遊びで始めて、そこから試合があるからどう?と誘われて、次はクラブチームに誘われて、と色々な縁あって今の自分がいるっていうのは強く思いますね。
――自分だけの力ではここまでいけなかった?
やっぱり、きっかけは誰かに作ってもらったなと感じますよね。本当に人との出会いで人生が変わったし、いろんな経験をさせてもらったので、周りの縁が僕にとってはとても大事でした。
――若いチームメイトたちにも、そういったお話をされることはありますか?
ご縁も、結局は自分で呼び寄せるものなんですよ。なので、若い子たちに言うなら、“どれだけ今やっていることに全てを賭けているか、覚悟があるかだよ”って言いたいですよね。中途半端な気持ちだったら中途半端なことしか起きない。若い子たちがこの先、40歳になって振り返った時に、あの時は出し切ったって言えるなら、それは人生においてプラスだし、誇れることだと思う。自分が思うゴールとか成功にたどりついても、たどり着かなかったとしても、“出し切った”っていう経験がすごく大事だなって思います。
昨年は特に、そういう話をしたかもしれませんね。コミュニケーションはとる方ですよ。近寄りがたい見た目なので、自分から声かけようかなって思っていたら、案外向こうから話してくれました(笑)。逆に全然いじられたりして。いい雰囲気でやらせてもらってます。
我が子のサッカーを見守る
心配性パパの一面も
――お子さんたちのサッカーの観戦や練習の見学をしたりしてますか?
結構心配性なんですよ。一番の心配はメンタルですよね。うちの子はメンタルが強くないなって感じるんで、心配で心配で。たまに試合見ながら、俺の足貸してあげたい!って思うし(笑)。もどかしいです。思春期ということもあったのか、試合を見に来ないでくれって言われてたんですよ。でも小学校の頃、チームの卒団式で、息子がスピーチで「すごいパパがいることがプレッシャーで…」と話し始めると、もう、そうだったのか!と号泣、「でも大好きなパパで…」の一言でさらに大号泣でした。妻のハンカチを奪いましたよ(笑)。
子どもたちは思い切ってやってくれればいいと思ってますけど、僕がフットサルを始めたのは21歳からだったから、子どもたちのサッカーの進路のこととか全くわかんなかったので、一緒に勉強しながら見守ってって感じですね。
フットサルの魅力、子どもたちへのメッセージなど
レジェンドからもらいました!
――フットサルを見たことがない人に、面白さ、見どころを伝えるとしたら?
ゴールシーンがたくさん見られる、というところかな。細かいことを言ったらたくさんありますけど、キーパーが上がってきたりとか。よく見る人は、見るのも疲れるねっていうくらい、切り替えが激しいスポーツです。
選手たちはフットサルするだけで楽しいと思う。特に町田のホームの試合って満員で、その中でプレーできるので、モチベも上がるし、ここで見せなきゃって気持ちも上がるし。さすが3年連続、観客動員数1位のチームですからね。昨年町田に戻ってきて試合してみたら、めちゃめちゃ雰囲気が良くて、これが町田のホームの魅力ですよね。
――町田はサッカーをはじめとして、スポーツが盛んな地域でもあります。頑張っている子どもたちにアドバイスお願いします。
スポーツも楽しくなければ続かないし、楽しみながらも勝ち負けにこだわることは大事。真剣に楽しくやってほしいなって思いますね。もちろん、うまくいかない日もあるだろうけど、そんな時はどうすればいいかというと、練習以外ない!悩んで上手くなるんだったら、いくらでも悩みますけど(笑)。やっぱり自主練。プロはみんな自主練していますから。みんなも練習してね!
――森岡選手のラストシーズンもいよいよ開幕です。ファン・サポーター、市民の皆さんにメッセージをお願いします。
昨年同様、全力を尽くします。優勝を狙えるチームなので、まだ経験のない優勝っていうタイトルを一緒に経験しましょう!ホームゲームには足を運んでいただいて、応援よろしくお願いします。
森岡選手が手がけるブランド
CASCAVEL

ポルトガル語でガラガラヘビを意味する「C A S C A V E L(カスカヴェウ)」。へび年でもある2025年にブランド始動。「フットサルを始めた時に、かっこよくて憧れていた東京のチームがあって、それが昨年まで監督として町田を率いていた甲斐さんのカスカヴェウ東京(=ASVペスカドーラ町田前身のチーム)だったんですよ。ブランド名を考えているときに、甲斐さんにお願いしたらいいよって言ってくれて(笑)。僕にとって意味のあるブランド名になりました」。
森岡薫 もりおかかおる
Profile
1979年生まれ。ペルー出身。12歳父親の仕事で日本に移住、日本国籍を取得。ポジションはピヴォ。2007年Fリーグ発足年度、初代王者、得点王4回、Fリーグ最優秀選手4度受賞。2012年日本代表としてW杯に。2016年は中国、2020年からスペインでプレー。2024年通算300ゴールを達成。今季で引退を表明。子どもたちの育成にも力を入れ、自身の選抜チームがU12スペイン大会で優勝。元フットサル日本女子代表の妻と3人の子どもがいる。@kaoru.99