「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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まちだでくらす

地域の人たちの居場所作りをすることが
私の使命であり、
町田への恩返しだと思っています

更新日:2024.05.30

You You Living (株式会社鳳山) 丹羽昭尋さん

玉川大学からほど近い住宅街に佇む、花と木の香りと温もりに包まれたアウトドアリビングカフェ『You You Living』。店内には玉川学園の街に似合うスタイリッシュな生活雑貨や防災を兼ねたアウトドアグッズが並ぶ一角もあり、平日は子ども食堂としての役割も担う多機能なスペースになっています。通りかかる人たちから、時折、何のお店なのか尋ねられることもあるそうですが、オープンキッチンのカフェスペースには、料理やドリンクを提供する店舗スタッフと、お客さん同士の会話が弾むL字型のカウンターが設えられ、アットホームな雰囲気がたっぷり。キッズスペースは靴を脱いであがるようになっていて、そこには友だちの家に遊びに来たようなリラックスできる空間が広がっています。

店名のYou You Livingには「あなたとあなたの家族の居場所」という意味が込められているそう。

「誰もが気軽に集える寺子屋のような居場所を町田で提供することが私の長年の夢でした」と話すのは、『You You Living』を運営している地元企業『株式会社鳳山』の代表取締役社長、丹羽昭尋さんです。丹羽さんが「人と人のご縁がつながる居場所づくり」の必要性を感じたのは、社会人になってすぐのこと。居場所づくりの実現に向けて走り出し、その場を玉川学園前に選定したのは、経営している会社が軌道に乗り、居場所作りを提供できると確信を持てた2020年のことだったと言います。でも、なぜ居場所作りを?

「私自身、思春期に不登校の経験があり、当時とある場所に居場所を求めました。そこは学校から帰ると宿題をしたり、遊んだりできる寺子屋のような場で、赤ちゃん連れからシニアの方まで誰もが出入りできる、地域のコミュニティ場として機能していたのです。たまたま私はそのような環境に巡り会えたのですが、昨今あらためて見回すと、意外とそういう居場所がないことがわかりました。子どもも大人も本心で打ち解けられる環境があり、かつ本心で話せる場所を作りたい。そういう居場所作りを個人ではなく、あえて民間の法人として作りたい。それが出発点でした」

転勤の多い家庭で育った丹羽さんは、中学1年、2年、3年と異なる学校に通学したそうで、町田に引っ越してきたのは中3のとき。丹羽さんは小学生のころから社会福祉協議会に登録し、高齢者施設でイベントを実施するなど、積極的にボランティア活動を続けてきました。そして、高校卒業を控えたタイミングで、阪神淡路大震災が発生。丹羽さんは大学受験をやめ、社会福祉協議会の一員として、震災後まもなく現地で活動しました。このときの経験が、その後の人生を大きく変えます。


「被災地でのボランティア活動とホテルマンとして働いた経験を通じて、人と人とのつながりが非常に重要であることを知りました。私は幼少期から人見知りなこともあり、人とのおつきあいが得意ではなかったのですが、震災での経験をきっかけに、人のためになろう! 人のつながりを大切にしよう! と自ら積極的に行動していきました。その結果、心を開くことができるようになり、人と話すことにも自信を持てるようになりました。自分が変わると、取り巻く環境も変わります。そして、人のためにしたことは、最終的に自分によい形で返ってくるのです。」

本業で得た収益を
地域のために有意義に活用したい

社会福祉協議会としての活動を終えたあとも、丹羽さんは大阪でホテルマンをしながら、被災地での支援活動を続けます。その中で丹羽さんは被災地で真新しい建物が全壊し、伝統構法の建物が全壊していないことに感銘を受けました。その後、宮大工の技術を継承する建設会社に就職。伝統構法を学んだのち、ログハウスや西洋工法にも携わり、2009年の30代前半に、とあるきっかけで家電量販店に引き抜かれます。かつては人と話すことが苦手だった丹羽さんですが、入社一年目で家電量販店業界伝説の日本一のトップセールスマンに!

2015年より地元・町田で人材育成のコンサルティング活動などを行う、「Office Niwa」を設立。2018年にはリノベーションやオリジナルの家具など独自の設計施工を行うリフォーム会社を設立し、コンサルタント業に建築業、講演会、家事代行、認可外保育など多岐にわたる活動を展開しています。そして、その収益は『You You Living』の運営資金に。

「You You Living単体では、正直いうと収益を度外視していますが、本業で得た収益を地域のために有効的に利用していきたいという思いで運営を続けています。店舗スタッフさんには売上げを無理に追求しないというのが丹羽流のスタンスです。ただ、やれることはきちんとやりたいと考えているので、カフェや子ども食堂で使用する食材は、クオリティの高い地元の自然農法の農家や全国の生産農家と提携して、安心・安全なものを提供し、かつ生産農家に社会貢献することをポリシーとしています」

現在は月に一度のペースで能登半島地震の被災地支援を続けている丹羽さん。アウトドアグッズを扱っているのは、ふだんから防災意識を楽しめるきっかけになればという背景があります。

子ども食堂では
週に4回、おむすびと一汁一菜を提供

『You You Living』では火・木・金曜日は午後3時から午後5時、水曜日は午後1時から午後5時の間、“おむすび食堂”という名で、お店のスペースを開放しています。“おむすび食堂”は子ども食堂として運営されており、予約は不要。行きたいと思ったときに寄れる場所で、子どもは100円、大人は300円で利用することができます。

おむすび食堂では自然農法などによる食材を使用。店内には子どもたちが喜ぶ駄菓子の販売コーナーも。

おむすび食堂は、もともと不登校や引きこもりのお子さんのために始めたものだったといい、「ここを居場所にしていいよ」「ここに居場所があるよ」という思いから、人通りの少ない朝10時にお店を開けていたのだそう。現在は不登校の方に限らず、誰でも利用できますが、「『学校がムリでもここ(居場所)があるよ』いう思いに変わりはありません」と丹羽さん。そのためお店は変わらず午前中から開いています。

「お子さんに限らず、ここでは、大人向けのワークショップも開催しています。今までなかなかそういう場に足を運ばなかった方も、ご自身の興味とマッチするものがあれば、のぞいていただけるかもしれない。そんな思いから、始めました。参加者の方が、『実は私は裁縫が得意なのよ』ということがあれば、『じゃあ次は講師をお願いしましょう』というように、住民の方が主役となって、どんどんつながりを広げているワークショップです。
あくまでも売上げは度外視です。店頭にディスプレイしている花や植物も、店内に並べているアウトドアグッズも同じで、それをきっかけに誰かの興味とマッチし、さまざまな世代の方たちがここに集い、つながりを生み出してくれればという願いからです」

ボランティアの学生さんと一緒に、母の日のプレゼントを制作する子ども向けのワークショップ。
店頭の植物は売り物でもあると同時に、会話を広げるコミュニケーションツールでもあります。

つながりが生まれた結果、ひとり暮らしの高齢者の方がお店に来て、悩みを打ち明けてくれたり、日々の生活についての会話を楽しんだりする場面も増えているのだそう。地域の人たちとコミュニケーションを図りながら、情報交換やサポ-トの提供などの橋渡しをしていければ、というのが丹羽さんの思いで、お店は地域コミュニティの一翼を担う存在になっています。

「町田のさまざまなエリアに『You You Living』のような居場所が広がって欲しい。それを民間の法人が率先してスピーディーに運営していくことが重要だと考えています。もちろん、ある程度の会社としての体力は必要ですが、町田には体力を持つ企業が数多く存在します。その輪が広れば、町田への恩返しになり、より居心地のいい街づくりに貢献できると信じています」

カフェで提供しているドリンクの一部は、お店の一角にある雑貨コーナーでの購入が可。
丹羽さんが経営する会社は地元のサッカーチームFC町田ゼルビアやASVペスカドーラ町田のパートナー企業でもあります。左はベトナムの就労支援と日本の障害者支援のコラボにより制作される、FC町田ゼルビアカラーのカゴバッグ。右はASVペスカドーラ町田のチームバッグとして採用が決定したそう。
PROFILE
1976年、山口県生まれ。1995年高校卒業時から阪神淡路大震災の復旧支援や社会福祉に携わる。サービス業、建築業などを経て2015年にOffice Niwa、2018年に株式会社鳳山を設立。2023年2月にYou You Livingを開店。東日本大震災の被災地支援の一環として陸前高田の食材を提供したり、能登半島地震の被災地支援のため、月に一度、輪島市などに支援物資を直接届け、現地で炊き出しや子ども食堂を運営している。
Outdoor Living café You You Living
2024年6月のワークショップ

6月6日(木)10:00〜12:00 『ちくちくワープショップ』
6月8日(土)10:00〜11:30 『金継ワークショップ』
6月15日(土)10:00〜15:00 『You Youマルシェ』
*マルシェは月に1回開催され、今回のコンセプトは『花』と『木製キエーロ』(生ゴミ処理)発表会
6月18日(火)13:00〜15:00 『フラワーワークショップ』
6月27日(木)10:00〜12:00 『ちくちくワークショップ』
6月29日(土)14:00〜16:00 『耳つぼ&ロミロミワークショップ』

TEL:042-860-2550
住所:町田市玉川学園5-2-2
HP: https://hozan.design/
@youyou_living
@You-You-Living-100086381347196/
撮影/上樂博之 取材・文/小山まゆみ
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