「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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まちだでくらす

ジョギング×ごみ拾い
「一人じゃない」と感じられる時間を

更新日:2026.02.26

町田emoプロジェクト

走りながらごみを拾う取り組み、プロギングの様子(2026年1月11日実施)

「無理に話さなくてもいい、走れなくてもいい。今のあなたのままで大丈夫です」。そう穏やかに語るのは、「町田emoプロジェクト」を立ち上げた宇野敬さん(50)です。忠生公園を拠点に、プロギング(ジョギング×ごみ拾い)や自然観察会などの活動を通して、人と人、人と自然をゆるやかにつなぐ取り組みを続けています。笑顔で話す宇野さんですが、その言葉の背景には、長年抱えてきた「生きづらさ」や、人生の節目で向き合った葛藤がありました。

プロギングへの思いを語る宇野さん

「ごみ発見!」「グッジョブ!」。小学生から高齢者まで幅広い年齢層の8人の参加者が、市道沿いの歩道を走りながらごみ拾いをしていきます。リーダーである宇野さんの声かけを合図に、参加者たちは声を出し合い、寒空の下でもテンポよく進んでいきました。片道およそ30分の距離を往復し、集まったのは紙くずやビニール袋、段ボールなど。回収量は、ごみ袋数袋分にもなりました。

「ごみ拾いって、実はすごく感情が動く行為なんです。つまり『emo(エモ)』ですね。誰かに声をかけてもらえるだけで、承認された気持ちになりますし、一緒にまちをきれいにできたという達成感もあります」

町田emoプロジェクトの活動の柱となっているのが、この「プロギング」です。プロギングは、スウェーデン発祥のフィットネスで、ジョギングやウォーキングをしながらごみ拾いを行う取り組み。宇野さんはプロジェクト立ち上げ初期、メンバーとの何気ない雑談の中で「ごみ拾いをしたい」という話題と、ランニングが趣味のメンバーの話からプロギングを知り、興味を持ったといいます。

「現在は月1回程度のペースで開催しています。走る人、歩く人、それぞれが無理のないペースで進みます。身体を動かす爽快感と、心が温かくなる感覚。その両方を味わえるのが、プロギングならではの魅力だと思っています」

プロギング前の準備体操の様子

宇野さんは、町田市内の障がい者福祉施設で25年間働いてきました。日々、利用者一人ひとりと向き合い、支援を続ける中で、多くのやりがいや喜びを感じてきたといいます。一方で、50歳という人生の節目を迎え、「この先、自分は何を大切にして生きていきたいのか」と、改めて自分自身に問いを投げかけるようになりました。

「そこで参加したのが、社会課題の解決を志す人が集う『一新塾』でした。自身の経験や想いを言葉にし、仲間に向けてプレゼンテーションを行いました。その時に掲げたのが、『感情と共感が価値を持つ“emo時代”を切りひらく』というビジョンです。効率や成果だけでなく、心が動くこと、誰かと共感できることにこそ価値がある。そんな時代を地域からつくっていきたいと思いました」

共感した2人の仲間とともに、町田emoプロジェクトは始まりました。

宇野さんと共に町田emoプロジェクトを率いる芝田達也さん。宇野さんとは一新塾を通じて知りあい、宇野さんの考えに賛同し共にプロジェクトを始めることに。「参加者のペースに合わせて走ったり歩いたり、無理はしない。子どもから高齢の方まで参加できるように、距離や折り返し地点も毎回調整しています。『また来たい』と思ってもらえる、そんな場所にしたいと思っています」
プロギング前の説明で、参加者にわかりやすく教える芝田さん(左)と宇野さん。
芝田さんは埼玉県の在住だが仲間とともに継続的に活動に参加している

宇野さんが「孤独や生きづらさを抱える若者」への支援に強い想いを持つ背景には、自身の原体験があります。幼少期から、集団の中で「周囲と違う」という感覚を抱き、生きづらさや孤立感を感じてきました。明確な理由があるわけではありませんが、どこか居場所がないような感覚が拭えなかったといいます。転機となったのは高校時代でした。父に勧められて訪れた小笠原諸島で、大自然に触れたことがきっかけでした。海や森、空の広さに圧倒され、ただ夢中で自然と向き合う時間を過ごしました。

「誰かと比べられることもなく、評価されることもない。ただ『楽しい』『きれいだ』と感じる。その時間が、自分をすごく楽にしてくれました。この経験から、『何かに夢中になれる体験』が人の心を支える大きな力になると実感しました」

そして、かつての自分と同じように生きづらさを感じている人に、そのきっかけを届けたいと考えるようになったといいます。

小学生やその保護者も参加しました

活動の中で、宇野さんの価値観を大きく変えた出来事もありました。ある日のプロギングで、途中参加予定だった参加者がうまく合流できなかったことがありました。それでもその人は、自分なりにできることを考え、公園に戻ってきた際、両手いっぱいにごみを抱えて現れました。

「ごみ袋も持っていなかったのに、『できる範囲で何かをしよう』と行動してくれた。その姿に胸を打たれました」

それまで「ごみ拾いは袋を持って出かけるもの」と無意識に思い込んでいた宇野さんですが、この出来事をきっかけに、「完璧じゃなくていい」「自分なりの関わり方でいい」と考えるようになりました。この気づきは、町田emoプロジェクトの大切な価値観として、今も活動の根底に流れています。

ごみを見つけて回収し、喜びあう参加者

活動の舞台である町田は、宇野さんが生まれ育ったまちです。自然とまちが程よく共存し、市民活動も盛んな町田は、人と人のつながりが生まれやすい場所だと感じています。プロギング中、まちを歩く人から「ありがとう」「お疲れさま」と声を掛けられることもあります。忠生公園の四季折々の自然に触れながら活動を重ねる中で、参加者の中でも町田というまちへの愛着は、少しずつ深まっています。

「私自身、組織に所属しながらずっと孤独を感じていました。ただ、この取り組みをはじめ地域とのつながりで救われた部分もあります。町田emoプロジェクトが目指すのは、誰もが自分らしい居場所や役割を見つけられるまちです。人と人、人と自然がつながり、心が動く瞬間があちこちで生まれていく。無理なく関われる場があることで、『一人じゃない』と感じられます」

プロギング中の2人。旗を掲げ周囲にPRをしながらごみ拾いに取り組む

最後に、宇野さんはこうメッセージを送ります。

「今のあなたのままで大丈夫です。誰かと同じ景色を見ながら体を動かすと、心がふっと軽くなることがあります。よかったら、その時間を一緒に過ごしてみませんか。心動かす(エモ)体験で『いいことふくらむまちだ』です」

宇野さん、芝田さんとともに
町田 emo プロジェクトを率いる
橋下陽一さんへのインタビュー

町田emoプロジェクトに参加したきっかけと、現在の主な役割を教えてください。

「社会人起業塾『一新塾』で知り合ったことがきっかけです。私自身、社会課題の解決につながる活動に関わりたいと考えており、宇野さんの取り組みに共感して参加しました」

「また、家族にひきこもりの経験がある者がいたこともあり、生きづらさを抱える人たちの助けになれればという思いもありました。プロジェクトでは、ランニングが趣味ということもあって、プロギング当日の先導役を主に担当していました。加えて、パソコン作業が得意なので、参加申し込みフォームの作成や、過去参加者へのメール配信なども行っています。現在は福島県に移住したため現地での参加は限られますが、動画制作やホームページ制作など、後方支援の形で関わりを続けています」

自宅のお近くでも同様の活動はできるかもしれませんが、なぜ「町田」での活動を継続されているのでしょうか。町田の魅力や理由があれば教えてください。

「もともとは宇野さんの活動拠点が町田だったので、『そこに乗っかった』というのが正直なところです。ただ、町田は学生時代に小田急線の乗り換えで利用していましたし、仕事でも何度も訪れていたので、以前から親近感のある場所でした。東京でありながら、どこか神奈川っぽい雰囲気があって、その不思議な魅力も好きですね」

活動をしていて「やってよかった」「心が動いた(emoを感じた)」瞬間はどんな時ですか。

「申し込んでくださった方の中には、最初は少し不安そうに参加される方もいます。でも、プロギングが始まって声を掛け合ううちに自然と距離が縮まり、ゴミ拾いという『よいこと』を一緒にしていく中で、通りすがりの方から声を掛けてもらうこともあります。そうした経験を通じて少しずつ自信がつき、終盤には明らかに表情が明るく変わっているのが分かるんです。その瞬間を見ると、こちらも本当にうれしくなります」

最後に、プロギングに興味を持った方へメッセージをお願いします。

「プロギングは、ただのゴミ拾いとは違って体を動かすので、気持ちも前向きになりやすいと思います。どなたでも気軽に参加できるイベントですので、ぜひ知人や友人も誘って、お気軽に参加してみてください。皆さんのご参加をお待ちしています」

町田emoプロジェクト
プロギングの開催日はインスタグラムで確認を
@emo.cloud_insta
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