町田市でフードバンク活動をしている和光大学の学内サークルに
Z世代のSDGsリーダー・長谷川ミラさんがインタビュー!
更新日:2024.01.25
和光大学フードバンクサークル 「はらぺこあおむし」 ✕ 長谷川ミラさん
長谷川ミラさんと和光大学サークル「はらぺこあおむし」(写真右から)三井彩音さん(4年生・広報)、五十嵐海音さん(4年生・副代表)、石村涼葉さん(2年生・代表)、木村蓮さん(1年生・次期副代表)
2022年5月に結成された、和光大学のフードバンクサークル「はらぺこあおむし」。“フードバンク”とは、安全に食べられるにも関わらず、賞味期限や見た目、包装の破損など、様々な理由で廃棄されてしまう食品を、個人や企業、農家などから寄贈してもらい、食品を必要とする人へ無償で提供する団体のこと。「はらぺこあおむし」では、家庭で余っている食品を集め、地域の福祉団体や施設に寄付する“フードドライブ”という活動も並行して行っています。そんな「はらぺこあおむし」の活動に、Z世代のサスティナブル領域のトップスピーカーとも呼ばれるモデルの長谷川ミラさんが着目。和光大学を訪れ、サークルのみなさんにお話を聞きました。座談会の様子をお届けします。
「身近なところにも
貧困家庭があることに衝撃を受けました」
長谷川ミラ(以下、ミラ) 「はらぺこあおむし」は、2022年に立ち上げたばかりのサークルなんですね。そもそもフードバンクのサークルを立ち上げようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
三井彩音さん(以下、三井さん) サークルの顧問をしてくださっている加藤巌教授の「開発経済学」という授業がきっかけです。授業を通してアジア圏の貧困家庭のことなどについて学ぶなか、日本の貧困についてもお話を聞いて、身近なところにも日々の食事を満足にとれない子どもたちがいることを知りました。
ミラ SDGsにも「貧困をなくそう」という目標があるのだけど、日本は他人事のように流す人が少なくないんですよね。外国の話ではなく、同じ日本国内という身近な場所でも貧困が存在すると知ったときは、どう思いましたか?
三井さん 同じ国に住んでいるのに格差があるのは問題だと感じ、それを変えていきたいと思いました。学生として身近なところから関われたらいいなと思い、加藤先生に相談したところ、「卒業までやり遂げるなら協力できることはする」と言っていただき、勇気をもってサークル立ち上げたんです。
ミラ なるほど!
五十嵐海音さん(以下、五十嵐さん) 僕も同じ授業をとっていたので、日本にも貧困があることは知っていました。それに加え、父親の会社が子ども食堂の支援をしていることから、学生の立場からでも何かできることはないかと考えていました。そんな中、SNSで「フードバンクのサークルを立ち上げたいのだけど、興味のある人はいませんか」という三井さんからの呼びかけを見て、立ち上げに参加しました。
ミラ キャンパス内でサークルの勧誘をしたのではなく、SNSからだったんですね。
三井さん ちょうどコロナ禍で大学に行けない時期が続いていたので、SNSで声をかけたんです。最初に集まったのはここにいる五十嵐くんと石村さんほか、数名でした。
ミラ 石村さんがフードバンクに興味をもったのは、どんな理由で?
石村涼葉さん(以下、石村さん) フードバンクやフードロスが話題になっていることはなんとなく知っていましたが、私にも何かできることはあるのかな、と思っていました。興味本位みたいな感じです。
ミラ そうだったんだ。実際にサークルに入ってみて、どうでしたか?
石村さん 何もないところからのスタートだったので、どうしようみたいな感じで(笑)。
信用を得るために
サークルの知名度を
あげることからスタート
ミラ ゼロからのスタートということで、最初は何から始めたのでしょう。
五十嵐さん 学内でのサークルの知名度を上げることからスタートしました。
ミラ 知名度?
五十嵐さん 食べ物を集めて、必要な人たちに配るという活動をするためには、知名度がないと難しいんです。「食べ物を集めたり、お米を配ったりしているけど、あのサークルはいったい何なんだろう」と、思われかねないですから(笑)。
ミラ そっか! なるほどね。応援してもらわないといけないですものね。
石村さん 私たちの存在をちゃんと知ってもらうことが大事なんです。
ミラ うんうん、大事大事。これって社会でも同じで、どれだけいいものを作っても、知ってもらわないと意味がない。発信して、知ってもらい、信用を得るというのは、社会で実際に行われていることとすごく似ているなと思いました。これまでの活動で印象的だったことや、やりがいを感じた出来事はありましたか。1年生の木村さんはどうでしょう?
木村蓮さん(以下、木村さん) 僕はコロナの影響で高校時代に文化祭などができなかった世代で、イベントに向けてああしたらどうだろう、これはどうだろうといった試行錯誤を「はらぺこあおむし」の活動で初めて体験しました。高校時代にはできなかったことなので、それがいちばん印象に残っています。
ミラ 学生らしい部分を体験できたわけね!
石村さん 私は2023年3月に町田市生涯学習センター主催の「ガクマチEXPO」というイベントに参加したことが印象に残っています。「はらぺこあおむし」として初めて参加したイベントで、地域の学生団体の方たちと交流できたのも、楽しい経験でした。
今後は町田市の
子ども食堂などへも支援を広げたい
ミラ 貧困問題や食品ロスといった解決したい社会課題があるにしても、「こうやれば解決しますから、これをやりましょう!」というのではなく、それをひとつのツールとして、多様な経験ができるというのかな。いろいろな人に会えたり、交流したり、楽しい経験をできるのは、発信のスタイルとしてすごく重要だなと思いました。スタンスとして、めっちゃヘルシーです。今後はどんな活動をしていく予定ですか。
五十嵐さん 2023年10月に、相模原・町田の大学生が発案、主催した、地域を盛り上げるイベント「つながりマルシェ」に参加しました。SNSで拡散した結果、20キロ以上の食料が集まり、それを子ども食堂に寄付して、フードドライブからフードバンクとしての食料支援をするという形がまわり始めたので、今後はこのような活動を定期的に行っていきたいと思っています。
ミラ 長く続けていけるような仕組みづくりを強化しているということですね。4年生の三井さんと五十嵐さんはこの春、大学を卒業されるわけですが、今後の進路や将来の夢を伺っていいですか。
五十嵐さん 僕はガラス瓶関係の営業職に就く予定です。リサイクル的にはプラスチックよりもガラス瓶のほうが地球環境にはやさしいので、そういうものを広めていきたいという思いから、就職先を考えました。
ミラ 社会課題に向き合うサークルでの活動が就活にも影響したんですね。
五十嵐さん そうですね。「はらぺこあおむし」での活動を通して、SDGsへの意識がどんどん強まったというふうに思っています。
ミラ 素晴らしいですね。三井さんはいかがですか。
三井さん 所属しているゼミが東南アジア専門で、私自身もアジアに興味があるので、いずれはベトナムやタイに出張で行けるような会社で働きたいと思っています。
ミラ アジアを見たい、海外を見たいという思いですね。めちゃくちゃ大事!
三井さん まず世界を見て、それを日本に持ち帰って咀嚼し、世界に日本のよさを広めていけたらいいなと思っています。それと、卒業後もたまに「はらぺこあおむし」に戻ってきて、関われたらいいなって。
ミラ 活動を続けていきたい、と!
三井さん サークルを法人化してもらって、そこに入ろうかなって(笑)。
ミラ めっちゃいいね! 後輩たちはどうですか。
石村さん ちょっぴり不安はありますが、先輩方から受け継いだものを広げていきたいですね。
木村さん 朝食を抜いている学生のために、学内で朝食を配ったり、地域との交流を増やしたりして、先輩たちの目標を引き継ぎ、達成できたらいいなと思っています。
ミラ まだまだ夢がたくさんあるってことですものね。サークルとしてはどうですか。
五十嵐さん 「はらぺこあおむし」では現在、大和市の子ども食堂を支援しているのですが、今後は町田市の子ども食堂やフードバンクにも支援を広げていきたいと考えています。
木村さん 町田市と連携できるイベントがあったら、どんどん参加していきたいと思っています。ぜひお誘いいただけるとうれしいです!
ミラ 町田市には地域の方が参加しやすいイベントが多い印象があります。学生のみなさんにもそういうチャンスが多いと思うので、ぜひがんばってくださいね。私も応援してます!
和光大学フードバンクサークル
「はらぺこあおむし」
2022年発足。現在部員は30名ほどに増え、活発に地域のイベントなどにも参加している。活動の様子はSNSに。@wako_foodbank
@WFB0227
長谷川ミラ
PROFILE
モデル、ラジオナビゲーター。1997年7月7日生まれ。南アフリカと日本のミックスTVや雑誌での活動をはじめ、J-WAVE「START LINE」ではナビゲーターを務めている。イギリスの名門美大への留学経験があり、社会問題などをSNSで発信する、新世代を担うオピニオンリーダー。ビジネス誌「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022」受賞。@jenmilaa6326
@jenmilaa @jamtokyo @jamappareltokyo