「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

まちだでたのしむ

音とボールで奏でる夢のパフォーマンス。
障がいを超えて響く、2人の挑戦。
その姿が伝える、夢中で続けることの大切さ。

更新日:2024.09.26

「Team PTW」パラパフォーマー HARUKIさん(左)/優和さん(右)

口で奏でるさまざまな音に合わせて、ボールを自在に操る2人組が活躍しています。チーム名は「Team PTW」。生まれながらに聴覚障がいがある優和さん(神奈川県藤沢市在住)と、モザイク型ダウン症であるHARUKIさん(町田市在住)で構成される「パラパフォーマー®」です。ポールトゥウィン株式会社(愛知県)に所属し、町田市内のイベントなどに出演しています。彼らの目標は、障害を超えたパフォーマーとして、人々に夢と感動を与えること―――。

パフォーマンスを披露する2人
インタビューに応じる2人

優和さんが団体設立、HARUKIさんが参加

バスケ、音楽、ダンスを組み合わせた「フリースタイルバスケ」、リズムを作る音楽表現「ヒューマンビートボックス」。優和さん、HARUKIさんがそれぞれ夢中になり始めたのは中学生のとき。2人とも20年近く「夢中」を続けています。

HARUKI「ヒューマンビートボックスに出会う前は、ゲームが好きな子どもでした。どうしてもクリアできないゲームがあったんですけど、自分で攻略本なしでクリアできたことをお母さんに褒められた思い出があります。お母さんは『絶対無理だよ』って言っていたので、驚いていましたね。『すごい』って言ってもらえたのをよく覚えています。中学1年生の時、動画を通じてヒューマンビートボックスを知り、それからのめり込みました」

優和「小学校2年生のときから野球を習っていて、土日は少年野球教室、平日も友だちと野球、サッカー…って感じでした。学校の休み時間ももちろん全部遊んでいて、ボールが好きだったんです。そんな中、小4のときに体育の授業で初めてバスケに触れました。その後はずっとバスケにのめり込んで、ずっとボールと一緒にいましたね。なんでバスケだったかっていうと、小4の時、初めてやって、たまたまシュートが決まったんです。それで『なんだこれ、楽しい!』って思ったんです。まぐれだったんだろうけど…初めての感覚でした。私も中学生になって動画でフリースタイルバスケを知りました。人に楽しんでもらえるところがとても面白いですね」

それぞれ中学時代に夢中になるものを見つけました。ただ、まだ2人は別々の地域でそれぞれの暮らしをしていました。そんな中、優和さんが社会人になりパフォーマンス団体「NPO法人Power in da Performance」を設立。その団体にHARUKIさんが参加し、チームが誕生しました。

リラックスした雰囲気で対応する優和さん

優和「大学時代からパフォーマンス活動をしていて、初めはライブハウスや学園祭でずっとやっていました。でも、やっていくうちに福祉施設でパフォーマンスをしたくなったんです。自分と同じように、障がいのある人と一緒に楽しめることがしたいな…そんな思いから団体を立ち上げました。自分は障がいがあるからこそ、人の障がいについても気になって、一緒に関わりたいと思うようになりました。パフォーマンスで人と関われる、繋がれるというのは嬉しいことですね。また、ありがたいことに一緒にやりたいという仲間も多くいて、それも後押しになりました」

その後、「運命的な出会い」が訪れます。優和さんの団体に所属していたヒューマンビートボックスのメンバー(もこーさん)が、別の団体のイベントに出演。そのイベントをたまたまHARUKIさんが見ていました。そこで同じヒューマンビートボックスをやっているということで、HARUKIさんのお母さんが連絡先の交換をしたそうです。ただ、それを書いたメモがなくなり…。そのような中、偶然再会でき2人での活動がスタートしました。

HARUKI「優和さんの団体に参加するようになったきっかけは僕のお母さん、そして優和さんともこーさん。みんなのおかげです」

優和「HARUKIくんはヒューマンビートボックスを頑張っていたんだけど、障がいがあるためにレッスン教室に断られてしまって、うまくなるきっかけがなかなか得られなかったんです。みんなと一緒に楽しめるように、なんとかできないかという相談を受けて、うちでレッスンを引き受けました。ヒューマンビートボクサーのもこーさんから直接指導を受け、約7年ですね。今でも週1くらいで続けています」

支援企業が登場、「驚き」の契約へ

そして、2人の活動に注目する「企業」が現れます。愛知県名古屋市にあるポールトゥウィン株式会社。ゲームデバッグやソフトウェアテストのサービスを提供している企業で、社会貢献活動の一環で「活動を応援したい」と声をかけてくれたそうです。

照れ笑いを浮かべるHARUKIさん

HARUKI「入るとき(障害者雇用契約を結んだとき)は、本当に夢がかなったという気持ちでした。嬉しかったです」

優和「障がいのある人がパフォーマンスする取り組みは日本全国で行われています。でも、雇用契約を結んで継続的に障がいがある人がパフォーマンス活動をできるということは前代未聞だそうです。こんなやり方があるんだって思いました。『それってできるの?』って(笑)、正直当時は半信半疑な面もありました。自分が活動する中でもその発想はなかったから。これからこういう活動が増えていけばいいなと思います」

今年3月から正式にパラパフォーマー®(同社の登録商標)としての活動が始まりました。今は週に1度、2時間程度の練習を行い、週末にあるパフォーマンスの機会に備えています。少しずつイベント出演も増えてきているそうです。

的確なタイミングで、ボールを軽やかに操る優和さん

優和「パフォーマンス後に話をして、障害者雇用枠で契約してパフォーマンスしているんですっていうと驚かれるんです。これは一般の人が聞いても驚くような前代未聞のプロジェクトなんだなと。パラパフォーマーと言っても、僕たちみたいにどこに障がいがあるのかわかりにくい人も多いと思う。でもパラパフォーマーという言い方をすると、障がいの見方も変わってくると思うんです。障がいがあることでネガティブになってしまうかもしれないけど、僕らみたいに『こういうことができるよ』って表現していくと、『こんなすごいことができるんだ!』って見方が変わってくるんじゃないかなと思います」

HARUKIさんが作り出すビートに合わせ、優和さんは変幻自在にボールを操り、その技術で見ている人を魅了していく。一方、パフォーマンスをする2人はどんなところに「面白さ」を感じているのでしょうか。

マイクを持ちリズムを奏でるHARUKIさん

HARUKI「ヒューマンビートボックスで出す音は20種類くらいあります。出した音の中で、この音は良かったなと思う瞬間があるんです。それが気持ちいい」

優和「2人でやっていて『音はめ』というか、2人で息を合わせてこの動きをするときにこの音を出すっていうのをシンクロさせるのが得意になってきているかも。HARUKIは障がいの特性もあって、初めは自分のやりたいようにやってしまっていたこともあったけど、今はそこを抑えてやってくれています。練習を重ねることで、僕が欲しいときに欲しい音を出してくれるようになってきて、コンビ技もうまくできるようになってきました」

「以前はヒューマンビートボックス自体を知ってもらおうと思い、パフォーマンスをしていました。でも今は、自分のことを知ってもらいたいと思いステージにあがっています。」HARUKIさんの口から、そんな自身の「成長」が感じられる言葉が聞かれました。

優和「HARUKI自身のことを知ってもらいたいってことは、とてもいいね。1人のパフォーマーとして、すごいなって思ってもらえたら嬉しいですね。パラパフォーマーという意味では、障がいがある。でも、障がいの有無を除いても、これだけできる!ここまでできるんだよ!ってことを見てもらいたいです。障がい者としての雇用契約を結んでやっていることを広めるのも大切ですが、障がい者としてではなく、パフォーマーとして、プロレベルまでいけていることを見てもらいたいです。好きなこと、やりたいこと、夢中になることを見つけてやることには価値があると思います。HARUKIもヒューマンビートボックスを家の中でもお風呂でもやっていて、うるさいと言われながらも続けていたそうです(笑)。でも、それだけ夢中で続けていたら、ここまでできるんだということが示せているんじゃないかなと思います」

町田のこと、他にも夢中なことについて

町田市出身のHARUKIさん、藤沢市出身の優和さん。町田の好きなところやヒューマンビートボックス、フリースタイルバスケ以外に「夢中なこと」は?

ヒューマンビートボックスとボールパフォーマンスの
息の合ったコンビネーション

HARUKI「町田の自然や公園が好きです。芹ヶ谷公園とか。あそこは心霊スポットって言われて…(笑)。高校生の時に、夜に友達と行きました。怖かったです。思い出に残っていますね。あとは家族とよく一緒に行っていた、なかよし公園。今は座って景色を眺めたりしています」

優和「町田駅はすごく活気があって、行けば何かある、楽しめる!というイメージですね。実家が大和にあって、神奈川から近いので、東京の中で一番親近感がありました」

HARUKI「ヒューマンビートボックス以外では、心理的な話になるけどスピリチュアルが好きです。超常現象や超能力、不可能を可能にすること、神様の話が好き。神話にまつわるアニメとかも見ていました。異世界系もあるけど、魔法や超能力系のアニメが特に好きですね」

優和「昔から好きなのはスニーカー集め。最近は買ってないけど、バッシュ(バスケットシューズ)とか、かっこよくて、ついつい買っちゃっていました。3、40足あります。あとは最近、藤沢に住んでいるので海へ行ってボディボードをやったり。7月上旬にも行って、真っ黒に日焼けしちゃいました、2日連続で。あと、音楽も好きです。レゲエが好きで、ライブにも行ったりしています。サッカー観戦も好きです」

「やめないといいことあるかも」

ハンディキャップをネガティブに捉えず、常に前を向く2人。優和さんはこう言います。「障がいがあるということが二の次になればいいな。パフォーマーとして見られているのが嬉しいので。『障がいのあるパフォーマー』ではなく、『パフォーマンスすごいな、え、障がいあるんだ』って思ってもらえるような感じですかね」。そして、同じように障がいがありながら、夢を見る人たちへのメッセージを送ります。

ポジションチェンジ?
ボールを操るHARUKIさん(左)とビートを刻む優和さん(右)

HARUKI「みんなが趣味をパフォーマンスにできるようになればいいなって思います。頑張っている人には、頑張っていることを続けていてもらいたいです」

優和「人生の中で、頑張っていること、好きなことがあるということは大切だと思います。何もないとネガティブになってふさぎ込んでしまったり、自分を説明するときに、まず、『障がい』という言葉が先に来てしまう。でも好きなことがあれば、それが自分を説明するときに一番に来る言葉になる。何か一つでも、自分にできることがあれば、それだけでポジティブになれる。僕らみたいに、続けていると何かいいことがあるかもしれないですね」

ポーズを決める2人
Team PTW
https://www.team-ptw.com/
Team PTWは、パラパフォーマー®のフリースタイルバスケットボーラーの優和(ゆうわ)とヒューマンビートボクサーのHARUKIによるチームです。将来的には、多様なパラパフォーマー®で構成されたチームを目指しています。
@paraperformer_teamptw
@TeamPTW-wu4nx
ポールトゥウィン株式会社:https://www.ptw.inc/
SHARE