「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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まちだでたのしむ

この風景は、地域の宝物。
壊したら二度と作れないから、
今できることを

更新日:2025.08.07

セントラル商店街広報さやかさん セントラル商店街会長加藤翔太さん

今から半世紀以上前の1969(昭和44)年、日本住宅公団が手がけた鶴川団地。その中心に人々の暮らしを支える商業の拠点として誕生したのが、「鶴川団地セントラル商店街」です。全棟完成時には総世帯数8000戸を抱える大団地となり、商店街は日々の買い物に、出会いに、そして季節の移ろいに寄り添う生活の舞台となりました。それから50年以上。かつてのにぎわいがそのまま残っているわけではありませんが、商店街を歩いてみると、時を重ねた建物や看板に、新しく加わったセンスのいいお店が寄り添い、懐かしさと落ち着いたモダンさが同居する独特の味わいを感じます。商店街はいま、どのような思いとともに、地域に根ざしているのでしょうか。セントラル商店街の会長・加藤翔太さんと広報担当のさやかさんにお話を伺いました。

変わらないものと、変えていくもの
若き三代目と仲間の思い

── 加藤さんは現在、セントラル商店街の会長を務めていらっしゃいますが、いつご就任されたのですか。

加藤さん(以下、敬称略) 2024年の7月です。業態は異なりますが、うちは祖父母の代からここで商売をしていて、僕で3代目になります。現在ここでお店を営んでいる方の多くは2代目で、前会長もそうでした。3代目は僕一人という状況で、若手といえるのも自分くらい。そんな背景もあって声をかけていただき、会長を務めさせてもらっています。

さやかさん(以下、敬称略) 私は、もとをたどればただの飲み仲間ですから(笑)。会長のお店(夜もすがら骨董店)の常連で、もともとはお客さんだったんです。そのご縁で、今は広報を担当しています。そして今でも一番のファンです。私たちのまわりには、経験豊富な先輩方がたくさんいて、本当にいろいろと支えていただきながら、少しずつ引き継いでいるところです。

2025年5月11日に開催された「PLANET MARKET みんなこどもだった」にて。夜もすがら骨董店前には、めんこや紙ふうせんなどの懐かしいおもちゃが

── 昔ながらの商店街の雰囲気と、個性的なお店が混ざり合って軒を連ねているのがおもしろいですね。

加藤 そうですね。一気にきれいに変わるか、あるいは寂れたままになるか、商店街って極端になりがちな気がします。でもここは、そのどちらにも偏らず、絶妙なバランスでなんとか続いているなと感じます。

さやか 本当にそう。生きてきた時代も、見ている景色もそれぞれ違うから、一新するか、寂れるかの二択になるのも、ある意味、無理はないんですよね。たとえば、これからの地域の未来を見据えて、新しい価値を求めて活動している子育て世代と、長年その地域で商売や暮らしを続けてきた先輩方が、まったく同じ夢を描けるかというと、やっぱり難しい部分もあると思います。

さやか でも、セントラル商店街は、どこもかしこもおしゃれでピカピカのお店にしたいわけじゃないんです。私たちは、先輩方が積み重ねてきた歴史や歩み、この地域に注いできた思いに、心から敬意を持っています。だからこそ、古き良き商店街の空気を、ちゃんと残していきたいという思いがあります。

さやか ただ楽しいことをやりたいわけではなく、この地を愛する気持ちやシビックプライドのような愛おしい誇りみたいなものが、少しでも伝わったらうれしいなと思っていて。会長と一緒に、「新しい商店街の価値って何だろう?」と、いつも模索しながら走っている気がしますね。全然お金にはならないけど(笑)。

「PLANET MARKET みんなこどもだった」には、個性あふれる店舗も続々と出店し、賑わいと楽しさを届けています

まるで映画のワンシーンのよう
続いて欲しい風景を次の世代へ

── 何が、そこまで突き動かすのでしょうか?

さやか 私は巣鴨で生まれて、練馬で育ちました。高卒で働きに出て仕事も遊び場も下北沢で、結婚を機に鶴川へ引っ越してきたんです。セントラル商店街のイベントを企画・運営するようになったのはお店を立ち上げた昨年から。これまでに商店街と各加盟店さんご協力のもと、8回開催してきました。

さやか 実は私、音楽活動もしていて、まだお客さんだった頃に、夜もすがら骨品店さんのイベントで演奏させてもらったことがあるんです。そのとき、人がわっと集まって、子どもも大人も本当に楽しそうにしていて。その光景が、まるで映画のワンシーンのようで、ただただ感動しました。「こんな景色が、これからもずっと続いて欲しい」。お店をやろうと思ったのも、自分も何か役に立てるかもしれないという気持ちを貰えたことが一番で、イベントに力を入れているのは、そんな理由からです。それはまるで、いただいたプレゼントへの恩返しのような気持ちです。

絵本の読みきかせや紙芝居には子どもたちがたくさん集まり、笑顔あふれる時間に。ドーナツ食い競争では、子どもも大人も大はしゃぎでした

── 地域の方とのつながりを感じるのは、どんなときですか。

加藤 やっぱり、イベントのときですね。普段はそこまで人通りが多い場所ではないのですが、イベントになると、地元の若い世代との交流が生まれることもあります。

加藤 なかでも、鶴川団地の自治会、センター名店街、そしてセントラル商店街の三者共催で開催している秋祭りです。もともとは夏祭りだったのですが、コロナ禍で中止になってしまい、運営していた方々の士気もすっかり下がってしまって。みなさんご高齢ということもあり、「もうやらなくていいんじゃない?」という空気になっていたんですよね。

加藤 そこで、私たちも運営に加わって、コロナ明けに秋祭りとして再スタートを切ることになりました。それ以来、毎年秋に開催していて、2025年で3回目になります。

さやか 夏祭りの頃から数えると、もう53年間も続いているお祭りなんです。開催当日は、「どこからこんなに人が!?」と驚くくらい、たくさんの方が集まってくださって、本当に、地域の力を感じる瞬間です。

さやか 私は、セントラル商店街で『EGG REC DEPARTMENT/HOTEL©』という、ホテル兼クリエイティブ空間を運営しているのですが、実はオープン前、商店街の加盟店にもなっていない頃に、秋祭りの実行委員に引っ張り出されまして(笑)。いきなり企画と広報というダブル役職をいただきました。

加藤 引きずり込んだんですよ(笑)。最初はポスターのデザインをお願いしました。

さやか もともと音楽活動をしていたこともあって、フライヤーを作ったり、ホームページを立ち上げたり、何でも自分でやってきたんです。お金も人手もなかったので(笑)。でも今になって、そういう経験がやっと生かせる場をいただけたというか。商店街でやらせてもらっていることって、これまで自分なりに積み重ねてきたものを発揮できる場なんだなって思うようになりました。すべてはこのためだったのだという思い込みです(笑)。

2024年に続き、2度目の登場となった「ふくろうおばちゃん」のステージ。まるで昭和にタイムスリップしたかのような懐かしい空気が会場を包みました

変わりゆく時代のなかで
セントラル商店街が描くこれからの10年

── 新しい取り組みや工夫については、どう考えていますか?

加藤 僕が会長になったとき、副会長をはじめとした体制を見直して、さやかさんにも広報として入ってもらいました。それをきっかけに、というわけではないですが、商店街のイメージやブランディングも、少しずつ変えていけたらいいなと思っています。

加藤 最近では、セントラル商店街のロゴマークを作ったり、グッズ物販のようなことにも力を入れていこうと話しています。

さやか 今後10年ほどかけて、鶴川団地の名店街区の建て替え工事が進んでいく予定です。その間、セントラル商店街は、どうやって生き残るかが、大きな課題になります。工事が終われば、あちら側はピカピカに新しくなって、人の流れも自然とそちらに向かっていくかもしれない。じゃあ、10年後にセントラル商店街はどんな場所であるべきなのか。危機感もありますし、同時に楽しみでもありますけど、生き残ることは簡単じゃないんですよね。

さやか 地域の方に「ここに来たい」と思ってもらうにはどうしたらいいのか。すぐにできることを考えると、やっぱりイベントがいちばんわかりやすい手段かなと思っていて。各店舗さんも、それぞれの個性を出しながら工夫を凝らして取り組んでいるところです。

さやか この先の10年は、本当に変化の10年になると思います。それでなくても、セントラル商店街って、ちょっと“まぼろし感”があるじゃないですか(笑)。油断してぼーっとしていたら、ここだけ時間が止まってしまったような空間になりかねない。でも、何もしないわけにはいかないので、少しずつでも、なんとか走り続けていきたいですね。

── イベントについては、いかがですか。

さやか 『PLANET MARKET』と銘打って、年間を通じて4回のイベントを開催しています。クリスマスやお正月の時期に行う回のほか、3月には『春風』、5月には『みんな子どもだった』と題した回など、季節に合わせたテーマで開催しています。

さやか イベントのあとには毎回、Instagramやホームページで「ありがとうございました」と投稿するのですが、そのたびにフォロワーさんが少しずつ増えて、やっぱり、この場所は愛されている、未来に希望を持った人がたくさんいる特別な場所だなと感じます。団地や商店街って、時代とともにどんどん寂れていって、生きた化石みたいになってしまうこともありますよね。でも、ここには、そうした風景を宝物だと思っている人がいる。そんなあたたかいぬくもりや人の魅力、そしてこのまちならではの温度感を、これからもずっと発信していきたいと思っています。それがじわじわと地域の人たちにも伝わって、一緒に楽しみながらこのまちをもっと好きなってもらえたらいいなと願っています。

小さな瓶のなかに自分だけの景色をつくる苔テラリウムのワークショップ。誰でも気軽に楽しめると好評でした

雑多で文化的な魅力を抱く
まちへの思い

── 町田に対して感じることは?

加藤 時代によって印象は変わると思いますが、僕が子どもの頃から高校生くらいまでの町田は、雑多でちょっと危なっかしくて、でも文化的で、すごくおもしろいまちだったなと思います。最近は、どこか型にはまってしまい、他の地域でやっていることを後から取り入れている印象があって、昔感じていた“町田らしいおもしろさ”が少しずつ薄れてきているように思います。以前は個性的なお店や個人商店が立ち並び、ただ歩くだけでも楽しかった。今ではそうした場所が減り、駐車場になってしまっているのと見ると、どうしても寂しさを感じます。やっぱり、このまちに愛着があるからこそ、そう感じるんでしょうね。

さやか 加藤さんが話していた町田の変化は、私も下北沢の風景と重ねてしまうところがあります。雑多で文化的で、地元っぽさもありつつ、いろいろな人が入り交じっていたあのゴチャまぜ感。最近は少しずつ整ってきて、それもいいけれど、あの頃の混沌としたおもしろさはやっぱり魅力的だったなと思うから。

さやか 私はもともと古いものが好きで、壊してしまうと二度と作れないものは、壊しちゃダメって思っています。気に入ったものは長く使いたいし、あっという間にできるものは簡単に壊れてしまう気がして。

さやか 町田では、場所が変わったけど、『町田ノイズ』によく行きます。ノイズに行くと、パソコン作業もすっごくはかどるんですよね(笑)。

加藤 僕も昔は町田でバイトしていました(笑)。毎日町田にいた頃は、なくなってしまった『珈琲の殿堂 プリンス』が大好きでしたね。最近はなかなか行けていませんが、『ステーキのくいしんぼ』もまた行きたいと思う店です。

さやか 町田は緑が多いのもいいですよね。下北沢から鶴川に引っ越してきたときは、「駅からバス!?」と思ったけど、歩く機会が増えて、時間の流れもゆっくり感じられるようになりました。武相荘のような歴史ある場所が身近にあるのも魅力です。

加藤 町田は住みやすいまちだと思います。昔は駅前も少し危ないイメージがあったけど、今は治安もよくなりましたし。「帰ってきたくなるまち」だなとすごく思いますね。鶴川もそうですが、特別な何かはないけど、なんとなく落ち着く。若い頃に町田を離れた友だちも、30代や40代になって戻ってくる人が多くて。ちょっとした「帰巣本能」みたいなものがあるのかもしれませんね(笑)。

さやか 子育てしやすい環境なのもあると思います。私は外から来た人間ですが、この10年で町田で出会った人の数は本当に多い。音楽をきっかけに、町田や八王子でたくさんの人とつながることができました。町田は世代を超えて出会える場所でもあり、自分にとって居場所のような存在になっています。

── 最後に、町田市のキャッチフレーズ「いいことふくらむまちだ」に、ひとこと添えるとしたら、どんな言葉になりますか。

さやか 「夢見るセントラルで、いいことふくらむまちだ」。どうでしょう? ちょっとふざけてるって思われちゃうかな?

加藤 いやいや、いいですね。それ、採用です(笑)。

── 「夢見るセントラル」という言葉には、これからもセントラル商店街が地域の心の拠り所として、みんなに愛され続けてほしいという願いが込められていると感じました。本日はありがとうございました!

鶴川団地セントラル商店街
住所:町田市鶴川2-14-12 町田計算センター
HP:http://tsurukawa.jp/
@central_1969
Information
2025鶴川団地秋祭り
10月4・5日(土日)12:00~21:00(荒天中止)

鶴川団地自治会
センター名店街
セントラル商店街

鶴川団地自治会と商店街が合同で開催する地区一番の賑やかお祭りです。
会場は鶴川センター名店街太陽の広場、セントラル商店街とその前の道路。
商店街に隣接する一方通行道路は11時~22時まで車両通行止め「歩行者天国」です。
ペットの同伴、お車や自転車でのご来場はご遠慮ください。
混雑が予想されますので、皆さまが安全に楽しんで頂けますよう、ご協力お願い申し上げます。
(例年よりセンター名店街区の建て替え工事により道幅が狭くなっている箇所がございますので十分にご注意ください)

今年も地域の防災意識を楽しみながら学び、ゴミの分別もご協力いただけると幸いです。

地元の商店など多数の模擬店、キッチンカーも出店。
各会場のLiveステージもお楽しみに♪

主催(お問い合わせ)
『2024鶴川団地秋祭り実行委員会」
『町田地域連携商店街事業』
撮影/黒澤俊宏 文/小山まゆみ
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