「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

まちだではたらく

「夏の思い出になれば」。
誰もが笑顔になる1万本のひまわり。
開花の10日間、
南町田が多くの人でにぎわいます。

更新日:2024.8.22

横田貴洋さん

夏の青空の下、黄色のひまわりが一面に広がる風景は圧巻

南町田にある都道には、毎年7月25日頃から10日間ほど、多くの人が集まる場所があります。小さな子どもを連れた親子、散歩途中の夫婦、本格的な装備を持ったカメラマンなどが訪れます。約1,000平方メートルの敷地を彩るのは1万本のひまわり。このひまわり畑を管理しているのは、近隣にある横田農園の横田貴洋さん。横田農園はこの周辺で大変歴史のある農家です。横田さんは2018年から、農園の所有地で「季節の風物詩」としてひまわりを育て、近隣の人たちを喜ばせています。

ひまわり畑にはみつばちも集まる

6年前から都道沿いに

南町田にちなみ「なんまちひまわり畑」と名づけられたこの畑は、7月下旬から8月上旬にかけて1万本のひまわりが開花します。場所は原町田から南町田に通じる都道56号沿い、金森6丁目の西田峯山公園バス停近くです。管理者の横田さんは「皆さんの夏の思い出になれば」と話しています。

「ひまわり畑は2018年からスタートしました。きっかけはその2年前、妻の親戚が住んでいた沖永良部島(鹿児島県)に行った時のことです。島にはひまわり畑があり、ひまわりがそこらじゅうに咲いていました。地元の人にその理由を聞いたら『肥料だよ』と。ジャガイモが特産の島なので、その肥料としてひまわりを咲かせていたのだというのです。しおれた花をトラクターなどで土にすき込むと肥料になるそうです」

ひまわり畑の土地は家(横田農園)や他の畑と少し離れた場所にあり、しばらくの間使われていませんでした。そこで、横田さんは島で聞いたひまわりの話を町田でもやってみようと、試しに植えてみました。

「当初は観賞用ではなく、あくまで試験的なものでした。ただ、咲いた光景がなかなか良く、近所の人の間で噂になりました。そこから口コミやネットで徐々に広がり、『またやってほしい』『来年もやるんですか』という声が届くようになりました。楽しみにしてくれる人がだんだん増えていったことで、継続するようになっています。育て方は、島の親戚に聞いたり、インターネットで調べたりしました。最初の年は不安でしたが、きちんとひまわり畑になってホッとしたのをよく覚えています」

2年目からは、花の見やすさや写真写りを意識し、畑の奥まで入ることができる「道」を作るようにしたそうです(間隔を開けている)。最初の年は道がなく、都道の歩道や向かいから全体を撮ることしかできなかったのです。横田さん自身、写真を撮ることが好きなので、「せっかくなら良い写真を撮ってもらいたい」という思いがあり、それが工夫につながりました。

「スケジュールとしては、5月に肥料を撒き、トラクターで耕します。種は決まって梅雨に入る前、6月2週目の土日に蒔きます。その後7週間で咲き始めます。咲き始めるのは7月25日頃で、そこから10日くらいが見頃ですね。今年は暑いので、早めの開花になるかと思いましたが、例年通りでした。作業は一人で行うのは難しい部分もあるため、ご近所に住む昔馴染みの方に手伝ってもらっています」

どんな香りがするのかな?

SNS効果で来場者増
夕陽が人気

ひまわりの数は、ざっくり1万本くらい。1粒ずつ種を蒔くので、1万粒の種を使うそうです。

「ひまわり畑を始めて2年目からブログ、インスタグラム、フェイスブックで発信するようになりました。開花状況がわからないと、せっかく来ていただいたのに、しおれていたら悪いので、タイミングがわかるようにしました。発信を始めてから、やはり訪れる人の数が一気に増えました。SNSで拡散されるので、その効果も大きいです。最近気がついたのですが、グーグルマップで検索すると、『なんまちひまわり畑』を表すマークが、いつの間にか観光地のようなマークになっていました。検索する方が多くいて『昇格』したんですかね(笑)」

スマホで場所を案内する横田さん

朝の早い時間帯はペットを連れた人が多いそう。この暑さの影響か、日中は比較的、来場者は減ると言います。一方、夕方になると、夕陽とひまわりの写真を撮りにくる人で混みあうこともあるそう。ひまわり畑の奥に沈んでいく夕陽という構図で撮影ができるので人気があるようです。

「見頃は10日間くらいです。ひまわりがしおれたら、トラクターですき込みます。最初の年は、肥料にすることを目的に植えたので、そのあと玉ねぎを育ててみました。ただ、玉ねぎの収穫は6月で、そうすると次のひまわりを植えるタイミングが遅くなってしまうことに気がつきました。それで2年目以降は、肥料としてではなく観賞用に育てるようにしました。今、この畑はひまわりのためだけに使われています」

ひまわり畑を続けているのは、地域の人や訪れる人たちに楽しんでもらうため。「すごい!」という声や、楽しそうに写真を撮る姿を見ているのが嬉しいと言います。

「その姿を糧に、毎年種を蒔いています。皆さんの夏の思い出になればいいですね」

みんな笑顔で「夏の思い出の一枚」を撮影中

え!就農者でない?

そんなひまわりを熟知する横田さんですが、実は就農者ではなく、JA職員。JAでも農業関係でなく金融関係の領域で働いているそうです。

「大学を卒業してから、ずっとJA東京みなみ(多摩市、日野市、稲城市が管轄)に勤めています。就職活動中、さまざまな業界を見る中で、最終的には自分の家族の持つ農地を守っていかなければならないと考えました。JAは農業だけでなく、農家(組合員)に対して、土地の相続や税金(資産管理)にも携わっているため、『将来を考えた時に、携わっていた方が良いのではないか』と。仕事をしながら勉強もできればいいなとも思いました」

平日はJAに勤務しているため、ひまわり畑の作業は基本的に土日のみ。毎年種を撒く日を「6月2週目の土日」としているのも、そのような理由からだそうです。

「小学生の間は、金森にある母方の実家近くに住んでいました。中学生になる頃、現在の住まいからすぐのところにあるアパートに引っ越しました。社会人になって26歳の頃、祖父が体調を崩したことをきっかけに農作業を手伝い始めました。実はそれまで、400年続く農家に生まれながら、農業には全く触れてきませんでした。大学も経済学部だったので、農業の知識は全くありませんでした。祖父が亡くなってから家を建て替え、畑のある場所で両親と自分たち家族が一緒に住むようになりました」

ホップの状態を確認する横田さん

クレープ好き、リス園推し。ビールづくりも

町田生まれで町田育ち。生粋の町田っ子である横田さんは今も暮らすこのまちについて「駅前は都会、でも離れると緑がある、このバランスが素晴らしいです」と話します。学生時代は町田駅近くにあるキャロットハウスというクレープ店で、バイトをしていたことがあるそうです。「あそこのクレープは『知る中で一番うまい』です。生地の焼き方、生クリームの絞り方、具材の置き方に店長のこだわりがあります。今でも時間があれば立ち寄るくらい好きです」とのこと。そんな中、昔からお気に入りの場所があると言います。

「町田リス園ですね。小さい頃からよく連れて行ってもらっていました。その頃の印象がとても強く残っています。自分が親になり子どもを連れて行った時、『リス園ってこんなに小さかったんだ』と、自分が大人になったことを実感し、とても感慨深かったです。いい意味で、昔と変わらず残っていることが嬉しいですね。リスに餌をやる時につけるミトンがリス園と感じるポイント。リスが自分の体を登って、ひっついてくるのも楽しかったです。リス放し飼いエリアの外側にある、ふれあいエリアでモルモットや亀に餌をやることも好きでしたね」

横田さんの新たな取り組みとして「ビールづくり」があります。町田市内で飲食店を運営する企業経営者らによる地元産ビールの醸造所と店舗の運営(武相ブリュワリー)。横田さんも携わっているそうです。

「ホップを提供することになっています。身内の話になりますが、お酒が好きな妻と前々から『町田産のビールをつくれたら』と話していました。ある取材をきっかけに知り合った町田市の職員の方に『町田市でビールないんですか?』と尋ねたところ、武相ブリュワリーのメンバー、リカーポート蔵家(木曽西)の浅沼芳征さんを紹介してもらいました。それで2年前に試しにホップを作ってみると意外にうまくできたんです。その後、ブリュワリーの話が本格化すると、浅沼さんらの会議に参加するようになりました。ホップの収穫がある程度見込めそうなので、提供することになりました。自分の畑のホップの面積は、まだまだそんなに広くはないですが、今後ブリュワリーが開店してから様子を見て増やす考えです。今育てているのは15株、1年目の株からはあまり量が採れないので、ガッツリ収穫できるようになったらもっと増やしていきたい。とにかくできたビールを飲むのが楽しみです」

※本記事の写真は2024年8月3日に撮影されたものです
なんまちひまわり畑(横田農園)
東京都町田市南町田1-43-18
HP:https://yktfarm.com/
SHARE