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SPECIAL

オリンピックでメダルをとることが夢
BMXの魅力をもっともっと、伝えたい 

更新日:2024.03.28

岸龍之介さん BMXレーサー

BMXの競技で、町田にすごい選手がいる!という噂を聞きつけ、早速取材へ。BMXの競技の中でも、BMXレースの選手として、世界で戦っているという高校2年生(2024/3月時点)の岸龍之介さん。学校生活と両立させながら、試合への出場、日々の練習と忙しい日々を過ごしているといいます。家の近所の鶴間公園で始めたキックバイクが、すべてのきっかけだったと話す、ご両親と共に、龍之介さん(以下龍之介さん)にお話を伺いました。

●BMXとは? 
「Bicycle Motocross(バイシクルモトクロス)」の略で、特定の自転車を使用した自転車競技および競技で使用する自転車のこと。1970年代にアメリカで始まった。 ●BMXの競技とは? 
特定のコースを走り順位を競う「BMXレース」と、技の難易度や完成度、トリックの組み合わせや構成、ジャンプの高さなど総合的に採点が行われる「BMXフリースタイル」という2種類がある。BMXレースではジャンプセクションやコーナーが設置されている300m~450mの未舗装コースを走り、順位を競う競技。2008年北京オリンピックから正式種目。「自転車の格闘技」とも例えられるほどの激しい自転車レース。

2024年2月に行われたタイでの大会。見事優勝。
 

龍之介さんが自転車に乗り始めるきっかけは、“キックバイク”を 3歳のクリスマスプレゼントにもらったことでした。子どものファースト自転車としてすっかり定着した、“キックバイク”がきっかけで、今やレーサーが生まれる時代。もともと、龍之介さんのお父さんが、そういったスポーツが好きということもあり、プレゼントしたものだったとか。小さな頃から得意だったのでしょうか。

岸龍之介さん キックバイクで遊んでいた事はあまり覚えていないのですが、楽しかったという思い出は強く残っています。

岸龍之介さん父(以下父) 3歳半でキックバイクに乗り始め、4歳半でBMXも始めました。キックバイクから次の自転車を探している中で、自分の行きつけである世田谷の瀬田交差点横にある自転車のプロショップで「BMXのレーサーっていうのがあるよ。車体が軽いよ」と薦められ、購入したのがきっかけです。購入後、保育園時代は、キックバイクのレースとBMXレースの両方に参加していました。

岸龍之介さん母(以下母) それまでは結構病気がちで、イベントのたびに熱を出すタイプでした。それが、キックバイクで走り回るようになってからは風邪をひかなくなり体力もつきました。実は、キックバイクの初めてのレースの時、前日に熱が出てしまい参加できず、BMXレースのデビューが先になってしまいました。

 TBSの緑山スタジオ内にBMXレースコースがあり、練習やレースに参加していました。始めた当初は、何から揃えたら良いかもわからなく、先輩達に色々聞きながら手探り状態でした。日曜日には初心者講習会もあり、当初は、まだ4歳ちょっとですから、コースの起伏も登れなく、スタッフが押してくれたりしていました。小さい体にヘルメットが大きいから3等身に見えて、おもちゃみたいなのが走っている感じでかわいかったですね(笑)。

 私は怪我をしないか、それだけが心配でした。

 何本か走るうちに1人でできるようになりました。「コブコブ(起伏)やってみる?」って尋ねたら「やるっ!」って言うので続けました。

キックバイクに乗り始めた頃。鶴間公園も今とは違う風景だった。
夏はセミとりも。キックバイクで遊びながら鶴間公園で1日中過ごした。
ピアノも見事な腕前でコンクール出場も。

龍之介さんは、保育園時代から、家からすぐの鶴間公園にずっといて、キックバイクに乗ったり、虫とりをしたり、1日中過ごしていたそう。

 休日は朝から暗くなるまで鶴間公園で過ごしていました。夏だと6時とか7時ぐらいまでずっと鶴間公園で遊んでいました。キックバイクで走ったり、ブランコで遊んだり、セミを捕まえたり。何しろずっといるので、蚊取り線香を持参していました。本当に鶴間公園が近くにあって良かったです。

自転車以外にも、実はピアノも上手で、コンクールに出場する腕前の持ち主という、文武両道の龍之介さん。

 ピアノのコンクールで、小学4年生のときには全国大会まで行くことが出来て、これも貴重な経験となりました。しかし、高学年になりBMXのワールドチャレンジ大会(年齢別世界大会)に参戦するようになると、コンクールの時期が重なり両立が難しくなりました。中学生になると、ピアノへの熱意が下がってきて今に至ります。趣味程度で良いので続けて欲しい、母としての希望です(笑)。

龍之介さん 音楽は好きなので、ピアノがリフレッシュになりますね。

多くのスポンサー様の応援が龍之介さんを支えている。

BMXレースの世界は、スタートすると数十秒を争う競技だといいます。ゆえにすごく集中力を使い、なおかつ、同時に何人も一緒に走るため、激しくぶつかったり、コンタクトスポーツの側面もある、激しく、見応えのあるスポーツです。

龍之介さん スタート地点は地上8mの高さに設定されている「スタートヒル」から8人同時にスタートし、300mから400mぐらいの起伏あるコースを、3、40秒でフィニッシュします。ワールドカップや世界選手権で使われるコースになると、時速60キロ出ています。普通のレースでも時速50Kmは出ますね。初めてトライするジャンプとか、初めて行った場所でのレースは、慣れないと怖いなって思うけれど、1回走ったらもう大丈夫です。

今年に入って、タイでの大会で優勝。高校2年生の今、チャンピオンシップ ジュニアクラスの部門で現在UCIランキング36位と、世界の中で戦って、好成績を残している龍之介さん。それでも、学校での部活動ではなく個人としての活動になるため、国際試合への参加などは公欠扱いにしてもらうなど、ご両親の働きかけと学校からの配慮もあり、なんとか両立させているという。

龍之介さん 基本的に、土日はコースに行って練習、オフは、ずっと応援して頂いている玉川学園前駅北口の整骨院に行って体のメンテナンスをしています。学校からの帰宅後は、スプリントをしたり、バイクのスキルを練習したり、ジムへ行ってトレーニングをしています。特にジムはパワーに直結してくるので、やりがいを感じていますね。コーチに練習メニューを組んでもらい相談しながら練習しています。体重がもうちょっと欲しくて最近はとにかくいっぱい食べています。接触するスポーツなので、当たり負けをしないように体重を増やしたいと思っています。このような生活だと、休日に友達が遊びに行っているのを見るといいなって思うけど、またいつか別の機会があるかなって。

今はまだ、年齢がオリンピックの選考基準に満たないために、出場の可能性が出てくるのは2028年のロサンゼルス五輪以降。日々、練習に集中している龍之介さんに、今後の目標と、BMXの魅力を伺いました。

龍之介さん BMXの最終的な目標はオリンピックでメダルを取ること。その成績を利用して、もっとBMXレースを広めていきたいなっていう思いがあります。まずは成績を残さないと、メディアでも取り上げて頂けないですから。BMXレースの魅力は、3、40秒の間に接触や、ジャンプとか、すごく迫力があるスポーツです。とてもスピーディーだし、コーナーの駆け引きもあるし、大迫力な競技です。特に、レース会場に来てレースの雰囲気を感じて欲しいです。選手たちが駆け抜ける一瞬をみんな応援し熱く盛り上がって最高に面白いです。全日本BMX連盟(JBMXF)や動画サイトなどでも一度見てもらえたら嬉しいです。最後にグランベリーパーク横の臨時駐車場にBMXレースコースができるといいなって思っています。


岸龍之介
Profile
2006年生まれ。町田市出身。3歳からキックバイクを始める。キックバイクのレース「ストライダーカップ」で数々の優勝を果たし、全日本BMX選手権でも何度も優勝を収め、国際大会でも活躍中。2024年2月のタイで行われた大会でも優勝したばかり。2024年度日本自転車競技連盟のBMXレーシング男子ジュニアの強化育成指定選手。
@kishiryunosuke
撮影/松村隆史 取材・文/田中希 取材協力/全日本BMX連盟 https://jBMXf.org/
国内大会2023新潟大会 https://jBMXf.org/Result/5951
秩父大会 https://jBMXf.org/Result/6088
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