「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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まちだではたらく

「好き」と「こだわり」が
詰まった家で。
町田・下小山田町での
暮らしと二人の手仕事

更新日:2026.05.14

WOLD PASTRIES鰤岡和子さん MOBLEY WORKS鰤岡力也さん

自身の工房「MOBLEY WORKS」を立ち上げ、家具製作や内装を手がける鰤岡力也さんと、焼き菓子屋「WOLD PASTRIES」を主宰するお菓子職人の和子さん。町田市下小山田町の緑に囲まれたこの場所で、それぞれの手仕事と向き合いながら、暮らしを重ねています。

以前は夫婦そろって仕事中心の生活を送り、住まいは“眠るための場所”でしかなかったといいます。そんな日々の中で、平屋での暮らしを求めて住まいを探すようになり、たどり着いたのが町田でした。

現在の住まいは、古い家をリノベーションしたもの。力也さんは培ってきた技術を活かし、内装や家具の多くを自ら手がけました。自分たちの「好き」や「こだわり」を大切に整えられた住まいの一角にはお菓子工房があり、和子さんは自分のペースでお菓子づくりを行っています。そのお菓子は、販売するとすぐに売り切れてしまうほどの人気ぶり。そんなお二人に、町田での暮らしと仕事について伺いました。

二人の仕事の原点と
ものづくりへの思い

――今のお仕事を始めたきっかけを教えてください。

力也さん 大学卒業後、高齢者施設で2年間ほど働いたのち、アメカジショップが運営する家具店「GALLUP」に入りました。そこはアメリカから古い木材を仕入れ、内装材として販売するお店で、古着のリーバイスを仕入れて売るような感覚で木材を扱っているような場所でした。

力也さん 古材に触れるうちに、「自分でも家具がつくれそうだな」と思うようになり、独立を決断。最初は下請けとして古材を磨く仕事を10年ほど続けていたのですが、次第に「自分でデザインしてつくりたい」という思いが強くなっていきました。ちょうどその頃、父が亡くなり、「人生は一度きりで、いつ終わるかわからない」と強く感じて……。それをきっかけに下請けの仕事をすべてやめ、自分のやりたい方向へ舵を切り、オリジナルのブランドを立ち上げました。

ものづくりは好きだったという力也さん。「つくりたい」という気持ちが始まりでした

和子さん もともとは美容師として働いていましたが、カフェブームの影響で「自分もカフェをやりたい」と思うようになり、カフェレストランに転職しました。最初はホール担当でしたが、徐々にケーキ部門に関わるようになり、気づけばお菓子づくりに夢中に。7年ほど働いていました。その頃に夫と付き合い始め、家の更新のタイミングもあって、「一緒に住もうか」という話になったんです。

和子さん 二人とも平屋に住みたいと思いがあって、バイクで空いている物件を探し回りました。渋谷あたりから始めて、二子玉川、環七、環八と、だんだん外へ外へ移動していって、気づいたら町田にたどり着いていて(笑)。

和子さん 不動産屋さんで紹介されたのが、桜美林学園の裏にある平屋でした。そこで二人での暮らしが始まったのですが、引っ越してきたものの仕事がなくて、どうしようかなと思っていたときに、夫から「お菓子屋をやっちゃえば」と言われたんです。それで六畳一間の部屋にあるテーブルにお菓子を並べて、テイクアウトのお菓子屋を始めて。本当に、あの一言がすべてですね。

町田でお店を始めた当初は、自宅の一室で営業。「お店が始まる時間になるとテレビを片付けて、夜にはまた戻して(笑)。縁側から靴を脱いで上がってもらうスタイルでお客さんを迎えていました」と語る和子さん

――お互いのお仕事で尊敬しているところはどんなところですか?

力也さん 同じものをずっとつくり続けているところがすごいなと思います。僕たちはお客さんの依頼があって初めて形になる仕事なので、基本的には注文を受けて家具や内装をつくっています。でも彼女は、オーダーがあるわけではなく、自分でつくったものを自分の形で届けている。同じものづくりでも、そのスタイルの違いがすごいなと思いますね。

和子さん 研究熱心で、探究心がすごく強いところですね。今度もアメリカに行く予定があって、そうやって新しいことにどんどん挑戦していく姿はすごいなと思います。あと、若い人たちとも積極的に関わって、一緒に何かをつくっていくところも尊敬しています。私はどちらかというとそういうことが少し苦手なので、なおさらすごいなって。

――ものづくりの世界に惹かれた理由と、家具や内装の仕事で大切にしていることを教えてください。

力也さん もともと、自分でつくれそうなものを既製品で買うことに抵抗があって、それがものづくりを始めたきっかけです。仕事でも、お客さんの要望に合わせるというより、自分の中にある「好き」をもとにつくるタイプで、デザイナーというよりクラフトマンなんですよね。なので、最初に「自分の好きなものしかつくれません」とお伝えしたうえで仕事を受けています。それが自分のスタイルですね。

――和子さんがお菓子づくりで大切にされていることは何ですか?

和子さん なるべく旬の果物を使って、季節感を大切にしています。すべてではないですが、例えば庭で採れた柚子をピールにしたり、果汁を使ってシフォンケーキを焼いたり。ブルーベリーは近くの農園に摘みに行って、自分で収穫したものを使っていますし、近隣の農家さんから仕入れた栗を渋皮煮にして使うこともあります。地産地消とまではいかなくても、できるだけ身近な素材を使い、町田のものを取り入れたいなって。

和子さん あとは、素材の組み合わせも大切にしています。ローズマリーとオレンジのように、少し意外な組み合わせを考えるのが好きで、ハーブやスパイスを使ったお菓子もよくつくります。

自宅に隣接する工房で、お菓子づくりに向き合う和子さん。自然光が差し込む空間で丁寧に手を動かします
身近な素材から生まれる焼き菓子。季節の味わいがそのまま形になり、ひとつひとつ異なる表情に

不動産価値がないといわれた家と
運命の出会い、そして即決

――今の家に出会ったきっかけを教えてください。

力也さん もともと家を持ちたいと思って探していたのですが、なかなか条件に合うものがなくて。父が亡くなったのをきっかけに、実家の近くで家を建てたいと思うようになり、このあたりで4~5年ほど探していました。

力也さん 一度は小山田桜台のテラスハウスに決めかけていましたが、そのタイミングで知人の不動産会社の方から紹介されたのが、今の自宅です。竹林を含めて約330坪ある土地で、見に来てすぐに「ここだ」と直感しました。ただ、道が細くて消防車などが入れないため再建築不可で、不動産的には価値が低いとされている物件でした。それでも実際に来てみると、とても魅力的で。古い家ごと購入し、リノベーションすることにしました。

和子さん 運命的な出会いだったので、下見に行って「ここにします」と、ほぼ即決でした。資産価値がないと言われたんですけど、私たちにとっては資産価値しかなかったから、何を言っているんだろう?と思って(笑)。

――リノベーションされた際の家づくりのこだわりは?

力也さん この場所は緑が多く、どこかカントリーの雰囲気があるので、その空気感に合う家にしたいと思いました。もともとカントリー家具が好きこともあり、特に素材選びにはこだわっています。

力也さん カントリーの家は、いわゆる高級な木材ではなく、身近な木を使うことが多い。この家でも針葉樹を中心に使っています。節のあるラフな表情が特徴ですが、その中でもできるだけ節の少ない部分を選んで使っています。

力也さん 床材には、アメリカの古い工場の解体材を使用しました。一度製材し直し、オーダーメイドで床材として仕上げてもらっています。キッチンやドア、壁材なども、ほとんど自分で手がけました。

木の質感や素材にこだわって整えられた、あたたかな暮らしの風景

和子さん 私はほとんどノータッチでしたね。「蛇口どっちがいい?」と聞かれて答えても、結局もう決まっている感じで(笑)。唯一、口を出したのはキッチンの高さです。見た目を優先してもう少し高くしたいと言われたのですが、それだと背伸びしないと作業できなくなってしまうので、そこだけは自分の使いやすい高さに下げてもらいました。換気扇も少し低くしてもらっています。

和子さん 気に入っているのは、やっぱりキッチンですね。目の前に緑が広がっていて、ぱっと視界が開けるんです。まるでお花畑の中にいるみたいで、天国みたいだなって思います。

和子さん どこにいても緑が見えるのも気に入っています。例えばソファに座ると、天窓から竹が見えるんです。きっとそういうふうに計算してつくられているのでしょうね。

カントリーハウスのキッチンをイメージした空間。深さのあるホーローシンクや、木でつくられた取っ手など、細部までこだわりが詰まっています
高窓から光と裏山の緑を取り込む空間。梁の味わい深い表情が際立ちます

昔ながらの原風景にほっとする、
町田での暮らし方

――家を自分たちらしく整えていく中で、和子さんが大切にしてきたこととは?

和子さん ここに来て、四季を感じるようになりました。それまでは仕事中心の生活で、季節の移ろいをあまり意識することがなかったのですが、この家では自然とそれを感じられる。梅の時期には子どもと一緒に収穫して、梅干しや梅酒をつくったり、柚子も一緒に採って手を動かしたりしています。

和子さん 冬は薪ストーブがあるので、自然とみんながそこに集まります。遠赤外線効果で体の芯まであたたまり、外に出ても結構ポカポカ。焼き芋もおいしく焼けますし、煮込み料理をしたり、ピザを焼いたり。ストーブのまわりに集まって、その日にあったことを話したり、何気ない会話をしたりしています。そういう時間が生まれたことが、一番大きいかもしれません。

――町田で実際に暮らしてみて、どんなところに魅力があると思いますか?

力也さん やっぱり緑が多いところがいいですよね。特にこのあたりは、本当にいい環境だと思います。友人にもよく勧めるんですが、なかなか土地が空いていなくて。遊びに来た人は、みんな「いいね」と言ってくれます。

和子さん 若い頃は都会が大好きで、ネオンのあるような場所に惹かれていました。でもこちらに来てからは、逆に都会に行くと少しドキドキしてしまって(笑)。町田に帰ってくると、ほっとするようになりました。緑があって、空気がやわらかいというか、町田ならではの空気感に安心するんです。のんびりとした雰囲気もあって、そういう環境が年齢とともに自分に合ってきたのかなと感じています。

――町田で好きな風景とかお気に入りの場所はありますか?

力也さん やっぱりこのあたりですね。奈良ばい谷戸の風景がすごく好きです。谷戸の地形の中を水が流れていて、その水を使って棚田がつくられているのですが、昔ながらの原風景が残っている感じがあって。こういう景色がこのあたりにはいくつもあって、すごく気に入っています。

和子さん 私も奈良ばい谷戸が好きですね。あまり人に教えたくないくらい(笑)。最近だと、薬師池公園の西園もお気に入りです。リニューアルされていて緑が多く、犬の散歩をしている方も多くて、ゆったり過ごせる場所だと思います。

新しく家族に加わった保護犬のNalaちゃんと自宅前で。フランス原産の犬種であることから、フランスでも親しまれている名前を命名。力也さんが家具づくりで使うナラの木や、奈良ばい谷戸とのつながりも名前の由来になっています

渓流釣りと登山、
暮らしを豊かにする時間も大切に

――力也さんは渓流釣り、和子さんは登山にハマっているそうですね。

力也さん 今は渓流釣りにハマっています。山形や福島、岩手など、東北に遠征することが多いですね。フライフィッシングで、自分で道具もつくっています。最近はテントや食料を背負って、3泊4日くらい山に入るスタイルで、川のそばにテントを張り、釣った魚を食べながら過ごしています。

力也さん 釣りだけでなく、登山や食事も含めて、その時間すべてがすごく楽しい。去年は平日に週一回ほど通っていて、岩手で一週間の合宿もしました。今年は8月をまるごと休みにして釣りに行く予定です。自分だけ休むと申し訳ないので、会社ごと一カ月休みにして(笑)。そのためにしっかり働いています。

和子さん 4年前から始めた登山で、八ヶ岳や北アルプスなどにも登っています。日本百名山も少しずつ登っていて、今は30座弱くらいでしょうか。すべてを登るのは難しいと思いますが、できる範囲で続けていきたいですね。最近は、犬との暮らしが始まったので、一緒に散歩したり、将来的には一緒に山に行けたらいいなと思っています。

――これから挑戦してみたいことはありますか?

力也さん このあたりもそうですが、田んぼがどんどん減ってしまっていて、そうした風景をなんとか残していけたらいいなと思っています。再建築不可の土地は家が建てられないため、資材置き場や駐車場になってしまうことが多くて。それがもったいなくて、家の前は自分で土地を借りて芝生にしました。今は柵をつけて、ドッグランとして使っています。

力也さん 本当はこういう場所を、みんなで使える公園のようにできたらいいなと思っていて。木を植えたりしながら、少しでも景観を守れたらと考えています。こういう取り組みがしやすくなるように、地域と力を合わせていけたらいいですね。

メープルの木を1本植え、柵づくりも楽しみながら整えたというドッグラン

和子さん 体力づくりも兼ねて、普段の散歩でも意識して体を動かすようにしています。以前、膝を痛めたことがあるので、無理をしないように気をつけながら続けたいなって。

和子さん それから、町田でイベントをやっていたことがあるので、またいつかやりたいですね。マルシェのように、自分たちの好きなお店を呼んで、小さくても心地よい場をつくれたらいいなと思っています。

――町田市のキャッチフレーズ「いいことふくらむまちだ」に、言葉を添えるとしたら?

力也さん 僕は、「健やかさで、いいことふくらむまちだ」です。

和子さん いろいろ考えたんですけど、あまり思い浮かばなくて(笑)。でも、「笑顔」かなと思います。


WOLD PASTRIES
@woldpastries
撮影/上樂博之 取材・文/小山まゆみ
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