「ここ、なんだろう?」
町田の渦の中心で、
新しい出会いが生まれる場所
『はっとまちだ』
更新日:2025.09.18
はっとまちだ青木さん(右)
宮本さん(左)
町田駅前の賑やかな大通り。多くの人々が行き交うその一角に、まるで生き物のように渦を巻き、空へと伸びていく不思議な建物があります。「あれは何だろう?」——道行く誰もが足を止め、視線を奪われるこの場所が、町田の新たな交流拠点「はっとまちだ」です。
コンセプトは「日常も特別も。あなたとまちをつなぐ。」。人と人が出会い、言葉を交わし、新しい何かが生まれる——そんな可能性に満ちた、まさに「生きている」場所です。
今回は、「はっとまちだ」で活躍されている青木さんと宮本さんにお話を伺い、ここで紡がれる物語について探りました。
まず、「はっとまちだ」は、どのような場所なのでしょうか?
「大きく分けて4つの顔があります。まず、町田のイベントやお店の情報を『知る』案内所としての顔。それから、地元のお店の美味しいものを気軽に『味わう』テイクアウトの顔。作り手の想いがこもった逸品に『感じる』物販の顔。そして最後に、誰もが自由に休憩したり待ち合わせたりと、思い思いの時間を『過ごす』フリースペースとしての顔です。この4つの機能を通して、皆さんとまちをつなぐお手伝いをしています」
こうした多彩な顔で人々を迎え入れる「はっとまちだ」ですが、訪れた人がまず心惹かれるのは、そのユニークな姿かもしれません。空へと伸びる渦巻き状の屋根は、なんと高さ約8メートル。きらりと光る銅板は、時と共に色合いが変化し、まちと共に呼吸をしていきます。
「オープンしてから、『ここ、民間交番だったよね?昔よく道を聞いてたんだよ』って声をかけてくださる方が本当に多いんです」
そう、この場所はもともと「民間交番」として地域に親しまれていた場所でした。道案内をきっかけに、話が広がっていくことも多いそうです。
「『昔はこうだったよ』『あそこのお店、新しくなったよ』『こんな活動をしている人がいるよ』など、逆に私たちが新しい情報を教えていただくこともたくさんあります」
新しい建物は、人々の中にあるまちの記憶を呼び覚まし、過去と今、そして未来をつなぐ対話のきっかけになっていました。ここでは訪れる人から渡された知識のバトンが、また次の誰かへと手渡されていくのです。
そんな「はっとまちだ」の店内には、町田の作り手たちが生んだ、こだわりの品々が並びます。ここで大事にされていらっしゃることは何でしょうか?
「商品をただ並べるだけでなく、作り手の方がどんな想いで作られているのか、その背景にあるストーリーと一緒にお届けしたいと思っています。接客していると、お客様に『こんなかっこいいの町田にあったんだ?』って驚かれることも」
まだまだ知られていない町田の魅力が、ここには溢れています。それは、スタッフの皆さんが作り手と丁寧に関わり、その想いを自分の言葉で伝えているからこそ生まれる発見なのです。
【主な取扱商品】
はっとまちだオリジナルブレンドコーヒー:深煎りながら苦すぎない、やさしい安らぎを与えてくれる「えんと珈琲豆店」の特製ブレンドです。
ヒトとワンコがシェアできる無添加おやつ:安心して愛犬と分け合える「one's daily」のジャーキーや野菜チップス。
町田の作り手が手掛けるクラフト作品:日常を彩る「'n studio 三宅直子」さんの陶芸作品や、「toy-spice」の工作キットなど、温もりある品々が並びます。
気持ちが伝わるメッセージカード:「isado design」による上品なデザインのカードは、贈り物に添えるのにぴったりです。
さらに、ここで販売する商品には、もう一つの大切な想いが込められていると言います。
「私たちが取り扱うものは、ここで完結しないように意識しています。例えば、お散歩中にここで買ったワンちゃんと一緒に食べられるお菓子を片手に、芹ヶ谷公園でのんびり過ごしてみる。テイクアウトできる『アンカド+』さんのシュークリームにここで買えるレターセットで一筆添えれば、心のこもった特別な手土産になります。そんな風に、お客様の次のアクションにつながるような提案をしていきたいんです」
商品は、次の楽しみへのパスポート。だからこそ、品揃えもお客様の反応を見ながら、常に次へとつながるものを考えているそうです。そうしてまち歩きから帰ってきたお客様が「行ってきたよ!」と明るく声をかけてくれる。中には小学生の常連さんもいるそうです。そして、「はっとまちだ」のもう一つの刺激的な役割は、人の「やってみたい」を応援する「窓口」であることかもしれません。
「私たちだけでなく、他の人の『やりたい』を実現できる場でありたいんです。まず小さくここで試してみて、自信がついたら次のステップへ。そうやって何回もグレードアップできるような感じが一番いいなと思っています」
POP-UPストアの出店やワークショップの開催など、すでに多くのチャレンジがここから生まれています。「こんなことできますか?」という相談に、スタッフの皆さんは親身に耳を傾けます。
「町田には、まちに対してすごい愛着を持っている方がたくさんいるんです。活動の数も熱量もすごい。そんな点在している魅力を、ここでつなげていけたら」
その言葉通り、「はっとまちだ」は、人と人、人と場所、そして夢と現実をつなぐハブとなり始めています。今日も世代を超えた小さな出会いが、まちの未来を豊かにする大きな渦へとふくらんでいくのです。
もし町田のまちで、どこへ行こうかと少しでも迷ったら、まずはこの温かい渦の中心を訪ねてみてはいかがでしょうか。最後に、お二人はこう語ってくれました。
「特別な目的がなくても、本当に気軽に立ち寄っていただきたいです。ここでの出会いをきっかけに、世代を超えたつながりが生まれたり、皆さんの暮らしが少しでも豊かになったりしたら、それが一番嬉しいですね」
地域の想いが詰まったこの場所でなら、きっと、まだ知らない町田の魅力が、温かく迎えてくれるはずです。
ここから始まるたくさんの出会いが、町田の未来を豊かにしていく。「『つながる』でいいことふくらむまちだ」——その言葉の意味を、きっと感じられるはずです。