「まちだで好きを続ける」|町田市シティプロモーションサイト

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SPECIAL

      猫型異星人が家電を学びに地球へ!しかも町田に!
TVアニメにもなった『宇宙人ムームー』作者にインタビュー

更新日:2025.04.09

漫画家 宮下裕樹さん
ムームー
「ヤングキングアワーズ」編集長 星野さくらさん

少年画報社「ヤングキングアワーズ」で連載中の人気漫画『宇宙人ムームー』がアニメ化され、TOKYO MX/BS11にて2025年4月9日(水)より放送スタート!(配信情報はこちらから)遠い宇宙から地球にやってきた猫型異星人ムームーが暮らすのは、町田市にある主人公・桜子の自宅。ムームーは自らの種族が失ったテクノロジーを取り戻すため、地球の家電の技術を学ぶことを目的にやってきました。桜子の平凡な大学生活は、ムームーとの予想外の同居によって一変。ムームーとの化学反応が引き起こすスーパースペクタルな展開、家電にまつわるあれこれ。そしてにゃんコメディ要素が絶妙に絡み合う『宇宙人ムームー』。原作者の宮下裕樹さんと、「ヤングキングアワーズ」編集長・星野さくらさんに誕生秘話や作品に込めた思いを伺いました。

家電と猫型異星人が
わちゃわちゃ楽しく!

── 『宇宙人ムームー』はどのようなきっかけで生まれたのですか。

宮下さん(以下、敬称略)「最近の漫画は一芸に特化したものが人気なので、何かアイデアがないかなと考えていました。ある日、子どもと一緒に図鑑を見ていたとき、家電のしくみをわかりやすく図解しているページを見つけ、これを漫画にしたらおもしろいのではないかと思ったんです。それがきっかけで、家電をテーマにした漫画を作ろうと考えるようになりました。僕は大学で工学を学んでいて、物を分解するといったことが好きなので、家電ならおもしろくできる!と、星野さんにアプローチして」

星野さん(以下、敬称略)「宮下さんとは独身時代からのおつきあいですが、それまではファンタジーバトルを多く手がけていらっしゃいましたので、お子さんができると着想が変わるんだなと感じました。親になられたのだなと(笑)。テーマを家電に絞られたのは、素晴らしいアイデアだと思ったので、ぜひ描いてくださいとお願いしました」

── 異星人を猫の姿にした理由はありますか?

宮下「家電を分解して学ぶ物語を考えたとき、地球外の存在が学ぶほうがわかりやすいだろうと思いました。それで、宇宙人が地球に来て家電を学ぶことから始まり、さらに、宇宙人として地球に潜伏している存在が何かを考えたんです。地球でいちばんわがままで、自由に暮らしているのは、たぶん猫。多少、無茶をしても許されるのは猫かなと思って、猫に決めました。星野さんが猫好きというのもありますけど(笑)」

星野「私は無類の猫好きなんです。住宅事情で猫を飼えないので、宮下さんがこの漫画を始めてくれれば、取材で猫カフェに行けます。なので、『猫?いいじゃないですか!』と推して(笑)」

宮下「僕も猫を描くようになって、すっかり猫が好きになりました。勉強や模写のために猫カフェにも行きますが、全然寄ってきてくれないんですよ。目標は、猫から近寄ってきてくれる猫マスターになることです(笑)。スタッフにもキャストさんにも猫好きが多いので、細かい仕草にも注目してもらえたらうれしいですね。作中に登場する野良猫は、実は誰かの家の猫だったりもします」

ムームーが町田市役所にひょっこり初潜入!

── 『宇宙人ムームー』にはコメディ要素もふんだんにありますね。

宮下「バトルものでもコメディ的な要素を描いていますが、『宇宙人ムームー』ではコメディ要素をさらに強くして家電に落とし込み、わちゃわちゃと楽しい雰囲気を作りたいと考えました。主人公の桜子が大学生活を送っているので、自分の学生時代を思い出しながら描いています。懐かしさを感じるとともに、楽しい気持ちにもなりますね」

主人公の桜子はなぜ町田に?
まちのシンボル「光の舞」も登場!

── 桜子ちゃんは町田市内に住んでいる設定ですが、なぜ町田なのでしょう?

宮下「最初から町田と決めていたわけではなく、東京をイメージしつつ、東京ではない、神奈川のようなイメージで描いていました。それがだんだんと町田のイメージに近づいていき、気づいたら桜子が町田市のゴミ袋を使っていたんです(笑)。実は僕が通っていた大学が小田急沿線上にあり、学生時代にはよく町田に遊びに来ていました。桜子が住むまちも自然と町田になり、大学も母校をイメージでして描いていたのだと思います」

── アニメの『宇宙人ムームー』のキービジュアルには、町田のシンボル「光の舞」が描かれていますね。

宮下「はい、そうなんです。アニメには駅前のロータリーが登場し、主人公たちが暮らすまち並みも町田がモデルになっています。とくにアニメには町田のスポットがばっちり登場するので、地元の皆さんに見覚えのある場所が出てくると思います」

星野「アニメのオープニングには仲見世商店街も登場します。町田の皆さんにおなじみの大判焼きのお店もちらっと映るので、知っている方はすぐに気づくと思います!」

©宮下裕樹・少年画報社/京急大学人類再生研究会

キービジュアル第2弾には、JR町田駅と小田急線町田駅を結ぶデッキ上の「光の舞」(通称ぐるぐる)が登場! 

── 作品がアニメ化されるにあたって、いかがでしたか。

宮下「僕にとって漫画がアニメになるのは初めてだったので、本当にうれしかったですね。アニメでは登場人物たちが動き、それぞれに声があてられます。頭の中に漠然とあったキャラクターの声が実際の声に置き換わると、作品を描くときにイメージがより具体的に浮かぶようになり、描きやすくなりました。この声でしゃべって、こういう行動をするんだなと想像がふくらみ、より一層楽しんで描けるんです」

星野「アニメのスタッフさんが町田にロケハンに来てくださったと聞いています。私は町田生まれで、就職するまでずっと町田にいました。中学と高校は桜美林に通っていました。作家さんと打ち合わせをしたり、学生時代の思い出話をしていると、ついつい町田の話になるのですが、『町田は東京だぞ』ということを知らしめるために、作品作りをしたいという思いがずっとあって(笑)。なので、アニメ化が決まったときは、本当にうれしかったですね。町田は東京都であることを、作品やアニメを通じて、全世界にアピールしていきたいと思っています」

── ムームー役の声優には小桜エツコさんがキャスティングされていますが、こだわりがあったのでしょうか。

宮下「キャラクターの性格はわかっていても、声についての具体的なイメージやこだわりはとくにありませんでした。アニメの制作陣にキャラクターの性格や声のイメージをお伝えし、キャスティングはおまかせしました。結果的にすごくぴったりなキャスティングになったと思っています。家電の説明は文字量が多く、部品の名前も発音が難しい部分があるので、声優さんも苦労されたようです」

星野「他の作品ではあまり聞かないような専門用語が多いので、『正しい発音はどれだ?』と、リテイクになったと聞いています」

宮下「ムームー役の小桜さんは、ふざけているムームーも、真面目なムームーも、かわいいムームーも、どれも完璧に演じてくださって、表現の高低差が本当におもしろいんです。聞いているだけでも楽しめますね。漫画だと家電の説明がどうしても多くなりますが、アニメではキャラクターが自然に説明してくれるので、頭に入りやすくなります。漫画だと図解は1面しか見せられませんが、アニメは3Dを使ったり、動画で見せてくれるので、説明がとてもわかりやすくなっています。これはすごくいいことだと思っています」

TVアニメ『宇宙人ムームー』のエンディング主題歌『さよなら人類』は、『ピタゴラスイッチ』のオープニングテーマでおなじみ、栗コーダーカルテットの編曲。「リコーダーの演奏にあわせて、桜子とムームーが歌うほっこりかわいい曲です」(宮下さん)。「オープニング主題歌『ふしぎなきみ』はサバシスターさんの曲。エンディングテーマとのメリハリがあって、こちらもおすすめです」(星野さん)

最新の家電テクノロジーもレトロ家電も登場!
子どもも大人も楽しんでほしい

── 作品を通じて、伝えたいこととは?

宮下「町田というギミックをふんだんに使っているわけではないのですが、とくにアニメでは随所に町田の風景が映し出されます。どこかで見たことがある風景を目にしながら、『町田のどこかで、猫型の宇宙人と地味な大学生が奮闘しているかもしれない』、そんなふうに想像しながら見てもらえると、楽しんでいただけるかなと思います」

星野「町田のみなさんには、隣にムームーがあらわれるかも!? と思いながら、楽しんでいただきたいですね。『冷蔵庫ってどうして冷えるんだろう?』『自動ドアは何で開くのだろう?』など、普段何気なく使っている家電も、その仕組みについては意外と知らないことが多いと思います。そんな中で、何も知らない宇宙人のムームーが、その仕組みを解き明かしてくれるので、ぜひ一緒にお勉強していただければうれしいですね。家電が壊れたり、替え時かなと思ったりしたときに新しいものを買うのもひとつの選択肢ですが、修理すればまた使えるかもしれません。そんな視点を持つきっかけにもなればと思います」

宮下「作品は、冷蔵庫やトイレの工場を訪れ、実際に作っている方々にお話を伺いなら制作しています。静岡、大阪、奈良といった場所にも足を運び、取材を重ねてきました。家電の仕組みはしっかりとエビデンスに基づいて描いているので、その点もぜひ楽しんでいただければと思います。子どもが機械の仕組みに興味を持ってくれるとうれしいですね。最新の家電テクノロジーはもちろん、懐かしの家電や歴史にも触れるので、大人の方も「こんな時代もあった、あった!」と懐かしくなっていただけると思います」

ムームーたちが町田で
まちのインフラを学び直すかも!?

── 町田の魅力について、おふたりの感じていることをお聞かせください。

宮下「学生の頃、日雇いのバイトで得た給料を町田で受けとっていました。当時の僕にとって、町田はお金がもらえるまち(笑)。学生時代は古着を買うのが一種のステータスで、給料をもらうと町田の古着屋で古着を買い、それを着て、下北沢に行ったりもしました。石川県から出てきた僕にとって、町田は都心に行く前の準備をさせてくれる、身近で親しみやすい東京でした。そして、少し離れると里山の風景が広がり、石川に近い風景もある。都会的でもあり、田舎的でもあり、多様な顔をもつところが町田の魅力だと思います」

星野「私は町田の団地に住んでいたのですが、団地内で夏祭りや花火大会が開催され、近くには図書館もありました。季節ごとの行事を大事にする心は、こうした環境に育ててもらったおかげだと感じています。自分が育った経験から、町田は子育てしやすいまちなんだろうなと思います」

── 今後も作品に町田が登場するのでしょうか。

宮下「星野さんから町田の名所や隠れスポットをいろいろ教えてもらい、作品にうまく落とし込めたらいいなと思っています」

星野「子どもの頃、バイオエネルギーセンター(旧・町田リサイクル文化センター)に社会科見学に行きました。家電を持ち込んで処理してもらい、それを見学して、すごく楽しかった思い出があります。ぜひ主人公たちにも見学させてあげたいですね」

宮下「そういう展開はありかもしれませんね! 町田のゴミ袋には4コマ漫画が描いてあって、燃やせるごみ用と燃やせないゴミ用に分かれています。町田のゴミ袋を調べたとき、リサイクルに力を入れているんだなと思いました。ムームーが暮らしていた異星では、宇宙人たちが自分たちの文明を滅ぼした歴史があるので、インフラを学び直したいと思っているんです。バイオエネルギーセンターのような場所で、まちのインフラを学ぶ展開はおもしろいかもしれませんね」

── 楽しみにしています! 最後に、町田市のキャッチフレーズ「いいことふくらむまちだ」に、宮下さんが入れたい言葉をお聞かせください。

宮下「『漫画で、いいことふくらむまちだ』です!」

宮下さんが町田でお気に入りの場所は、学生時代に通った東急ハンズ。星野さんは、ザリガニ釣りをした芹ヶ谷公園だそう。
PROFILE
宮下裕樹
石川県出身、漫画家。東海大学卒業後、日本橋ヨヲコ氏、木葉功一氏に師事。月刊サンデーGX(小学館)に持ち込みを開始し、2002年にGX新人賞佳作を受賞。2004年同誌8月号にホラー読み切り『ポラプレドン』でデビュー。主な作品に『リュウマのガゴウ』『東京カラス』『宇宙人ムームー』(連載中)、『任侠転生―異世界のヤクザ姫―』(連載中)など。
撮影/上樂博之 取材・文/小山まゆみ
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